米大統領選、法廷闘争も 最高裁人事が決着左右か

トランプ政権
米大統領選
2020/9/25 23:00 (2020/9/26 5:06更新)
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法定闘争での決着も視野に入れるトランプ氏の発言は、民主主義の根幹の否定につながりかねず、異例の上院決議につながった=AP

法定闘争での決着も視野に入れるトランプ氏の発言は、民主主義の根幹の否定につながりかねず、異例の上院決議につながった=AP

【ワシントン=永沢毅】11月に迫った米大統領選を巡って、選挙結果が僅差にとどまり、勝負の決着が連邦最高裁判所での法廷闘争にもつれ込むとの警戒が広がっている。トランプ米大統領が26日に指名する最高裁の判事人事が結果を左右する可能性もある。決着の遅れは米政治の混迷を長期化させ、コロナ禍からの回復を阻む恐れがある。

米上院は24日「秩序だった平和的な政権移行」を確約する決議を全会一致で採択した。共和党の上院トップのマコネル院内総務はツイッターに「(初代大統領ワシントンが再選した)1792年から4年ごとに続いてきたのと同じように(今回も)整然とした政権移行となる」と書き込んだ。

一連の動きはトランプ氏が23日、民主党候補のバイデン前副大統領に敗れた場合に平和的な政権移行を約束するかを問われて「何が起きるか見る必要がある」と、確約を避けたのがきっかけだ。

法定闘争での決着も視野に入れるトランプ氏の発言は、民主主義の根幹の否定につながりかねず、党派を問わず危機感を呼び起こし、異例の上院決議につながった。

トランプ氏がこう唱えるのは、新型コロナウイルスの影響で米大統領選での利用急増が見込まれる郵便投票を不正の温床とみなしているためだ。

24日も記者団に「確実に間違いのない選挙にしたいが、そう確信できない」と語った。トランプ氏は郵便投票の増加が黒人ら非白人の有権者の投票を底上げし、自身に不利になるとみる。ただ、過去の国政選挙で大規模な不正が生じた事実は確認されていない。

郵便投票は確認に手間がかかり、通常ならば投票日の深夜の結果判明がずれ込む公算が大きい。郵便投票を含めた期日前投票を望む有権者は6割を超えるとの世論調査もあり、11月3日の投票日から結果確定まで少なくとも数日~数週間かかるとの見方もある。

今回の大統領選でどんな展開が想定されるのか。郵便投票は民主党支持者のほうが多く活用するとみられ、投票所で票を投じる割合は共和党支持者のほうが大きくなりそうだ。投票日はトランプ氏に一時的に有利な結果が出る可能性がある。

この場合、同氏が一方的に勝利宣言し、民主党候補のバイデン前副大統領が「郵便投票の票がすべて集計されていない」と敗北宣言を拒否する事態が想定されうる。支持率でバイデン氏が圧倒的な優位を確保して投票日を迎えれば、逆のパターンもあり得る。

合衆国憲法や連邦法の規定によると、結果判明がずれ込んだ場合の次の節目は12月14日だ。米大統領選は大半の州で1票でも多く得票した候補がその州の「選挙人」(全米で538人)をすべて獲得する。12月14日は各州の選挙人が大統領候補に票を投じる期日だが、接戦ならばいずれの候補も270人の過半数を得られない可能性がある。

この場合、2021年1月3日に招集される新たな議会で下院が新大統領を選ぶ。全米50州に1票ずつ割り当てられ、26票を得た候補が当選する仕組みだ。AP通信によると、1825年にこの方式で大統領が選ばれた。それでも決着しなければ、上院が選ぶ新たな副大統領が大統領代行に就く展開もあり得る。

2000年大統領選は共和党のブッシュ(子)候補と民主党のゴア候補が争い、ブッシュ氏が僅差で上回った南部フロリダ州の得票再集計の是非を巡って1カ月以上法廷闘争を繰り広げた。最後は連邦最高裁が実効的な再集計は不可能との判断を下し、ゴア氏が撤退を表明して決着した。

トランプ氏は今回の選挙が連邦最高裁の判断にもつれ込む事態を想定し、自らに有利な環境をつくろうとしているフシがある。すでに郵便投票の有効票の基準などを巡って全米で数百件の訴訟がおきている。

先に死去したリベラル系のルース・ギンズバーグ判事の後任に保守系を充てれば、9人で構成する最高裁判事は保守派6人、リベラル派3人となる。トランプ氏に有利な判断を下す可能性が大きくなる。トランプ氏がギンズバーグ氏の後任人事の議会承認を大統領選前に終わらせようと急ぐ理由とみられている。

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