企業、人手不足解消に期待 全世界から入国制限緩和

菅内閣発足
2020/9/25 21:00
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新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で発言する菅首相(25日、首相官邸)

新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で発言する菅首相(25日、首相官邸)

新型コロナウイルスの感染拡大以降、滞っていた外国人の往来が進む見通しとなった。政府は25日、3カ月以上にわたって日本に滞在する在留外国人の全世界からの新規入国を、10月1日から順次認める方針を決めた。人手不足に悩む企業は歓迎の構えだが、感染リスクを抑える手立ても欠かせない。

菅義偉首相は25日の新型コロナ感染症対策本部で「観光客以外については日本人外国人を問わず、検査をしっかり行った上で、できる限り往来を再開していく方針で臨む」と述べた。

政府は新型コロナの感染が広がった2月以降、海外からの入国を段階的に制限してきた。いまは159カ国・地域からの外国人の入国を原則禁じている。爆発的な感染拡大は免れたとして、夏以降、政府は新規入国の緩和策を検討してきた。

まず、感染状況が落ち着いているベトナムなど16カ国・地域とビジネスに限定した往来再開の交渉をしてきた。念頭に置くのは駐在員の受け入れだ。

さらに今回は対象国と要件を広げ、全世界から中長期の在留資格者について新規の入国を順次認めることを決めた。短期滞在者のうち観光目的は除き、ビジネス目的の出張は限定的に認める。新規入国はこれまで永住者のほか、一部の教員や医療関係者に限っていた。

中長期の在留資格者の新規入国に道を開くのは、国内外からビジネスへの悪影響を懸念する声があったためだ。コロナ問題が本格化する前の2019年の出入国管理統計によると、新規入国者のうち技能実習生は約18万人で最多。建設業や食品製造、農業などが外国人の労働力に頼っていた。

企業は入国制限の緩和に期待を寄せる。

カー用品最大手のオートバックスセブンは06年から続けてきたフィリピンからの車整備や塗装の技能実習生の受け入れが、20年4月ごろから止まっている。人手不足が続いており、「長期化すれば影響が出る」(同社幹部)として政府の動向を注視する。

住宅メーカーのヒノキヤグループは、渡航制限によって停止していた技能実習生の受け入れを再開する考え。住宅の建設工事などで人手が足りていないという。

コマツナをハウス栽培するグラノフェルム(福岡県久留米市)は4月と9月に計5人を予定していたフィリピン人技能実習生らの来日が白紙となり、収穫に支障が出ていた。米倉啓介社長は「入国制限緩和が始まるならうれしい」と話す。

工場ラインの立ち上げに外国人を必要としているのがアイリスオーヤマ(仙台市)だ。同社の製造装置は中国製が多く「中国の技術者やメーカー関係者の入国が欠かせない」としている。

日本IBMは、コロナ拡大を受けて帰国させていた外国人役員などを日本に呼び戻す。現状はテレワークで業務を進めていたが、「日本にいてもらうほうが仕事がしやすい」(同社広報)という。

一方で、ネットを生かした働き方の浸透を受け、かつてのような海外の人との対面でのやりとりを重視しない企業も出てきた。半導体大手のルネサスエレクトロニクスは「リモートでも半導体の設計開発で大きな支障が無いことが分かった」という。国をまたぐ人の移動も、あえて増やさない計画だ。

富士通も感染が広がってからは、海外出張を禁止し、オンライン業務を前提としてきた。海外拠点でソフトウエアを作成する「オフショア開発」も進めており、大きな影響はないとみている。

人手不足が続いてきたコンビニエンスストア業界でも状況は変わった。コロナの影響で休業が相次いだ外食業界などからアルバイトが流入した。「足元では人手不足は緩和している」(ファミリーマートの沢田貴司社長)。セブン―イレブン・ジャパンやローソンも似た状況で、外国人への需要は減っている。

入国者の増加に伴い課題となるのが感染拡大防止の水際対策だ。政府は検査能力を拡充するほか、宿泊施設などでの14日間の待機を求める。ただ法的拘束力はなく、待機期間中に外出をして、国内で感染が広がるリスクは残る。田村憲久厚生労働相は25日の記者会見で「しっかり検討したうえで実効性のあるものをつくっていく」と述べた。

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