携帯料金引き下げ、消費者メリットと競争力の議論を

携帯料金見直し
2020/9/25 18:37
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KDDIの高橋誠社長は25日、菅義偉首相が携帯電話料金の値下げの必要性を訴えていることについて「政府の要請を真摯に受け止め、対応を検討したい」と述べた。携帯料金の値下げは利用者には朗報だが、企業の競争力を左右する影響力も秘める。携帯会社は難しい選択を迫られている。

高橋社長は携帯料金の値下げについて「海外と比べて遜色ない料金が大事」と話した

同日に開いた高速通信規格「5G」の利用促進イベントで発言した。新政権の発足後、大手携帯会社のトップが料金の値下げについて発言したのは初めて。最大の焦点である大容量プランの値下げ可能性について高橋社長は「海外と比べて遜色ない料金が大事で、劣っている部分については対応したい」と強調した。5G基地局の整備については「手を緩めることなく展開する」と話した。

菅首相は政権発足直後から武田良太総務相に対し、携帯料金引き下げに向けた検討を指示した。武田氏は「(値下げ幅は)1割程度では改革にならない」との姿勢を示している。菅首相は官房長官時代の2018年に「携帯料金は4割値下げする余地がある」と発言し、総務省は大手の「囲い込み」を排除する施策を相次ぎ導入してきた。

携帯会社はこれまでも値下げに取り組んできた。KDDIは17年に通信サービスと携帯電話端末の料金を分離するプランを導入し、NTTドコモは19年に最大で4割値下げする料金プランを始めた。今年4月には楽天が低価格を強みとする料金プランで携帯市場に参入し、大手3社の寡占状態が続く携帯業界に風穴を開けようとしている。

それでも現状では料金の高止まりが続く。総務省による世界6都市の比較調査で東京(NTTドコモ)は標準的なデータプランで世界で2番目に高額となっており、大容量プランは最も高い。

各社が大胆な値下げに踏み切れない背景には、5G基地局の整備や災害対応などの設備投資がある。料金を4割下げれば収益への影響は大きい。KDDIの高橋社長は「企業としても持続的に成長していかないといけない。通信以外の分野も含めた成長を前提に、さらなる低廉化に向けて頑張っていく」と話す。

今後は大手携帯会社が政府の要望にどこまで応じられるかが焦点になる。MM総研(東京・港)の横田英明常務は「大手3社の競争力をそげば、5Gの競争で世界的に後手に回る。値下げの代わりに、政府が5Gの開発や整備を支援することが重要だ」と指摘する。

利用者のメリットと、5Gを担う日本企業の競争力維持のバランスをどう取るか。官民での丁寧な議論が求められる。

(平岡大輝)

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