世界粗鋼生産、8月0.6%増 6カ月ぶりの前年超え

2020/9/25 16:18
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世界鉄鋼協会が25日までにまとめた世界64カ国・地域の8月の粗鋼生産量(速報値)は、前年同月比0.6%増の1億5624万トンだった。6カ月ぶりに前年実績を上回った。単月での粗鋼生産が2カ月連続で過去最多を更新した中国の増産などが、全体を押し上げた。他の主要生産国でも鉄鋼大手が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一時休止した高炉を再稼働し始めた。ただ、欧州で再び感染者数が拡大するなど、依然として予断を許さない状況は続く。

中国では単月での粗鋼生産が、2カ月連続で過去最多を更新した(中国遼寧省の製鉄所)=ロイター

国・地域別では、中国が8.4%増の9485万トンだった。政府の景気刺激策による公共投資が鋼材需要を支え、中国は7月も粗鋼生産量が9336万トンと過去最多を記録していた。8月はさらに増産のペースが強まり、7月の生産量を超え、2カ月連続で最多を更新した。

中国以外でも回復基調は鮮明になっている。新型コロナの感染者数は増え続けているものの、経済活動の再開が進むインドは4.4%減の848万トンだった。全土封鎖に踏み切ったことで、一時は前年同月比で粗鋼生産が6割以上落ち込んだが、減少幅は着実に縮小している。韓国も1.8%減の580万トンとほぼ前年並みに戻った。

日本や欧米では依然として生産量が落ち込んでいるものの、再稼働の動きも出てきた。

日本は20.6%減の645万トンだった。8月は日本製鉄やJFEスチールによる高炉の一時休止が続いていたことが響いた。一方、9月中旬にJFEの西日本製鉄所の福山地区(広島県福山市)で高炉1基が再稼働した。自動車を中心に今後の需要回復が見込まれている。

欧州連合(EU)は16.6%減の932万トンだった。米国も24.4%減の559万トンだった。

欧米も再稼働の動きがある。欧州アルセロール・ミタルがフランスの製鉄所で、高炉を再稼働させるなど回復に向けた動きが出ている。米国でもUSスチールやAKスチールといった大手が高炉を相次ぎ再稼働させている。

中国の増産が世界全体の粗鋼生産をけん引するが、各国での生産活動の再開も加わり、回復は数字にも表れ始めている。

だが、足元では欧州で感染者数が再拡大し、スペインやフランスなどで政府が外出や集会の制限に踏み出す動きも出てきた。新興国でも依然として感染者数は増加が続く。

世界的に感染者数の拡大が続けば、再び経済活動が停滞する可能性も懸念される。「一定量を生産しながらコロナ禍と共存する形になりそうだ」(JFEホールディングスの柿木厚司社長)と慎重な見方も多い。中国の旺盛な需要がどこまで続くかも不透明で、リスクと向き合う厳しい時期は続きそうだ。

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