双子を出産・死産 病気の連鎖
村上睦美さん(2)医療ジャーナリスト

コラム(社会・くらし)
2020/9/27 2:00
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妊娠31週のこの日、妊娠中の双子のうち男の子の心臓が止まっていることが分かった(2004年10月)

妊娠31週のこの日、妊娠中の双子のうち男の子の心臓が止まっていることが分かった(2004年10月)

「禍福は糾(あざな)える縄の如し」ということわざがある。実感したのは抗がん剤治療が終わって半年後に妊娠が分かったときだ。自然妊娠だった。さらに予想外の双子だった。

働いていた北海道新聞社では、仕事と育児を両立する女性記者が何人もおり、私も当然のように両立を目指していた。ところが、がん治療、39歳での初めての妊娠、しかも双子という立場で心が揺れた。

 むらかみ・むつみ 1964年札幌市生まれ。92年北海道新聞社入社、2003年に悪性リンパ腫を発症し翌年退社。がんの再々発や難病を克服し、17年からフリーの記者として活動を再開。「がんと生き、母になる―死産を受け止めて」(まりん書房)を19年3月に出版。

むらかみ・むつみ 1964年札幌市生まれ。92年北海道新聞社入社、2003年に悪性リンパ腫を発症し翌年退社。がんの再々発や難病を克服し、17年からフリーの記者として活動を再開。「がんと生き、母になる―死産を受け止めて」(まりん書房)を19年3月に出版。

迷いながら仕事をしていたときに出血。切迫流産の疑いと診断され、入院を勧められた。看護師に車いすを押してもらって入院病棟に行きかけたが、立ち上がって出社した。翌日締め切りの原稿があった。出稿後に再び病院へ。子どもたちの無事は確認できたが、「今後も同様のことが起きるだろう」と考え、2004年に退社した。

退社後は穏やかな生活が続いた。妊娠中期には男の子と女の子だと分かり、心を弾ませ、双子用の服や用品を買った。

だが妊娠31週で男の子の心臓が止まった。帝王切開での出産を望んだが、医師らの強い勧めで女の子がもう少し育つまで待つことに。生きている子と死んでいる子の両方をおなかに入れているという気が狂わんばかりの日々をなんとか持ちこたえ、妊娠35週で緊急帝王切開により女の子を無事出産した。

出産の喜びと死産の悲しみを同時期に味わうのはとても辛い。娘の横にいつも息子の姿を見た。娘と一緒の楽しいはずのイベントはすべて悲しみの涙を伴った。そして出産・死産の1年4カ月後、体調が悪化した。

激しい動悸(どうき)が続き、タクシーで病院に向かったが15分後に到着したときには自力で体を動かせず、呼吸も荒くなった。血液内科医は「酸素を全身に運ぶヘモグロビンを含む赤血球が急速に壊れていく病気」と説明した。国の指定難病「自己免疫性溶血性貧血」だった。

翌日、私の希望で国立がん研究センター中央病院に転院し、悪性リンパ腫の再発も判明した。39日間入院し退院後に同じ指定難病を4度再発。不整脈の一種「発作性上室性頻拍」も発病した。悪性リンパ腫は08年、43歳のときに再々発。抗がん剤が効かず、放射線治療に切り替えた途中、敗血症性ショックで死にかけた。回復して腫瘍は消えたものの、病気の連鎖からは逃れられなかった。

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