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日経平均が語った「高揚と動揺」 記録で振り返る

なるほど日経平均70周年(2)

日経平均株価は1950年9月7日の算出開始以来、ほぼ絶え間なく、世の中の動きを数字で伝えてきました。今回は上げ下げの記録から、歴史を振り返ってみましょう。

転換点の1990年 下げ相場のなかで最大の上昇

日経平均70年の歴史で最大の上昇記録は90年10月2日です。前日から2676円55銭(13.24%)高の2万2898円41銭を付けました。

当時の新聞はその要因の一つに、政府の株価てこ入れ策を挙げています。「90年ならまだバブル経済で相場は堅調だったのでは?」「テコ入れ策なんて必要だったの?」と思う人もいるでしょう。

しかし90年の日経平均は大きな転換点で、バブル経済崩壊を先取りするように相場が大きく下がりました。年間の下げ幅では過去最大の1万5067円16銭安(下落率は38.72%で年間記録として歴代2位)です。89年の大納会で史上最高値(3万8915円87銭)を付けた高揚感は消え、代わりに景気落ち込みへの不安が市場を覆っていました。

地価高騰を抑えるため旧大蔵省は90年4月、不動産業向け融資の伸びを総貸し出しの伸び以下にするように金融機関に求める「不動産融資の総量規制」を打ち出しました。日銀は89年5月から90年8月にかけて5回公定歩合を引き上げました。過熱する景気を冷やす政策のインパクトをいかに市場が警戒したのか、その様子は日経平均の下げ幅記録のうち歴代2位から4位が90年に集中している点に表れています。

急伸記録の前日(10月1日)、日経平均は取引時間中に一時、約3年7カ月ぶりに2万円を割り込み、年初来安値に沈みました。株安を受けて記者会見した橋本龍太郎蔵相(当時)は信用取引で差し入れる担保の評価率引き上げなど、投資家の負担軽減策を明らかにしました。ひとまず市場には買い安心感が広がり、2日に史上最大の上げ幅を記録するに至ったのです。

上げも下げも最大級だった「ブラックマンデー」

上の表にあるように、歴代2位の上げ幅を記録したのは87年10月21日の2037円32銭高です。上昇率は9.30%でこちらは歴代5位の記録となっています。2万3947円40銭を付けました。この急伸も大きく下げた反動で生まれた上昇でした。

前々日の19日、米ニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は下落率が22%強と最大級を記録しました。世にいう「ブラックマンデー」で、日米欧で合意済みだったドル安回避を目指す国際協調に綻びが生じている、との見方が急落の一因といわれています。

米国の流れを受け翌20日の日経平均は史上最大の下げ幅と下落率となる前日比3836円48銭(14.90%)安を記録しました。14日に日経平均は当時の最高値(2万6646円43銭)を付けたばかりで、利益確定の売りが出やすかった面もありそうです。

暴落翌日のニューヨーク株式相場は急反発しました。米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン議長(当時)が流動性の供給源としての役割を果たす旨の声明を出し、市場の過度な不安は後退しました。この流れを受けて日経平均は21日、大きく反発し、歴代2位の上げ幅を記録したのです。

記録が呼び覚ます時代の空気

世界的な金融不安を引き起こしたリーマン・ブラザーズの経営破綻は2008年9月ですが、振幅が激しくなるのは翌10月です。日経平均の歴代下落率と歴代上昇率のトップ5に08年10月が複数ランクインしており、市場が過敏に反応していたのが分かります。

日経平均の記録は記憶に残る歴史的な出来事だけではなく、その時代の空気も刻んでいます。例えば上げ幅歴代3位は1994年1月31日で、終値は1471円24銭(7.84%)高の2万0229円12銭ですが、特にバブル崩壊やブラックマンデーのような節目の出来事が起きたわけではありません。

当時の細川護熙政権が懸案の政治改革法を成立させ、景気対策を本格的に打ち出すとの見方で大きく上昇しました。長年続いた自民党政権からの脱却に期待が高かったのでしょう。日経平均の上げ下げの記録はその時々の熱量を鮮明に伝えているのです。

(インデックス事業室 遠藤繁)

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日経平均株価は日本を代表する株価指数として国内外で知られています。このコラムではその算出方法や銘柄選定の考え方をはじめ、過去の出来事をもとに経済状況が株価に及ぼす影響などを解説します。豊富なデータをもとに、株式市場の現状やトレンド、今後の見通しなどを考えていきます。

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