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ナダル、ジョコビッチに死角あり 全仏テニスみどころ

テニスの四大大会、全仏オープンが27日にパリ郊外のローランギャロスで開幕する。例年は5月下旬~6月にかけて行われるが、今季は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で秋に延期、四大大会のとりを飾る。全米オープンからわずか2週間で迎える大舞台への調整はどうなるのか。いつもと違う気候や観客数も、選手のプレーに影響を及ぼしそうだ。

錦織はツアー復帰後3大会に出て、2回戦まで進めたのは前哨戦のイタリア国際のみ=AP

ハードコートの全米から、全仏の赤土クレーに慣れるための時間は2週間。全米で勝ち進んだ選手は試合勘はあるかもしれないが、球足が遅く、ラリーが続く赤土への切り替え、対応をこの短期間でできるかがカギになる。

全米を制した大坂なおみ(日清食品)は太ももの状態を理由に欠場を決めた。一方、準優勝のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)は翌週の全仏前哨戦、イタリア国際(クレー)でも準々決勝進出。全米で4強に残った残り2人も全仏には出る予定だ。

四大大会の優勝はまだない世界ランク5位のスビトリナ=ロイター

前哨戦を制したシモナ・ハレプ(ルーマニア)、力はありながら四大大会優勝に縁のないエリナ・スビトリナ(ウクライナ)らクレーになじみが深く、備えも十分な欧州勢と、全米上位選手との激突は興味深い。女子は2014年以降、毎年優勝者の顔ぶれが変わり、直近4年の覇者はみな、四大大会初タイトルだった。

男子の錦織圭(日清食品)は9月上旬、19年全米以来1年ぶりにツアー復帰した。右肘手術からの復帰は8月の全米前哨戦の予定だったが、新型コロナウイルスに感染して半月余り遅れた。オーストリア、ローマ、ハンブルクとクレー3大会に出たものの、2回戦まで進めたのはローマ国際のみ。ショットの感じは良さそうだが、試合勘が戻っていない。どんな形でも勝って自信を積み重ねたかったところだが……。全仏までに気持ちを整理できるか。

前哨戦でナダルはまさかの準々決勝敗退。13度目の優勝を目指す全仏までに立て直せるか=ロイター

全仏12度優勝で今回もV候補筆頭のラファエル・ナダル(スペイン)はあえて全米を欠場し、クレーシーズンに備えてきた。ツアー再開後、自身の初戦としてイタリア国際を選んだ。過去9度優勝している大会だが、準々決勝で過去に一度も負けたことのないディエゴ・シュウォーツマン(アルゼンチン)にストレートで屈した。試合をある程度重ねることで自信をつけていくタイプだけに、全仏本番までにどう修正してくるか。

前哨戦を制したのは、全米4回戦でまさかの失格となったノバク・ジョコビッチ(セルビア)。今季の無敗が意外な形で途切れ、気持ちは楽になったようにみえるが、テニスの感覚的には万全でないようだ。

前哨戦を制したジョコビッチ。マスターズシリーズの優勝回数も36とした=ロイター

全米を制し、全仏は過去2年連続準優勝のドミニク・ティエム(オーストリア)は2週間を休養に充てた。4度目の決勝で初めて四大大会の王者となった全米での自信が、得意のクレーでどう生きるか。1回戦でいきなり14年全米覇者のマリン・チリッチ(クロアチア)と当たる。

同じく休養に充てた全米準優勝のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は、それが初めての四大大会決勝だった。一つ壁を破った23歳にも、成長した姿を見せてほしい。

05年以降、ナダル、ジョコビッチ、ロジャー・フェデラー、スタン・ワウリンカ(ともにスイス)以外、だれも全仏覇者に名を連ねていない。ダニル・メドベージェフ(ロシア)、デニス・シャポバロフ、フェリックス・オジェアリアシム(ともにカナダ)ら全米で暴れた若手たちはハードコートの方が得意そうだが、ぜひ引っかき回してほしい。

全仏は当初、収容人数の60%の観客を入れるとしていたが、コロナの感染再拡大を受け、1日につき最大1万1500人に減らした。その後、警察当局の要請により、メインコートだけに定員の半分以下となる最大5000人としたが、さらに減らされる見込みだ。

収容人数こそ全米のセンターコート「アーサー・アッシュ」に譲るが、全仏の「フィリップ・シャトリエ」に響く、「アレ~(行け)」の掛け声には独特の圧力がある。今回、観客は半数以下、マスク着用となると、威力はかなり落ちるだろう。そのほかのコートは無観客だ。

前哨戦で優勝したハレプ。全仏では2度目の優勝を目指す=ロイター

無観客開催の全米がそうだったが、大きなコートでのプレー経験がない選手や挑戦者が上位選手と戦う際、無観客は気持ち的にかなり楽になるようだ。大歓声によるプレッシャーを感じずにすみ、「失うものなし」と思い切りプレーできる。最後まで思い切りの良さを維持した格下の選手に、シード選手が負ける波乱が全米では多く見られた。全仏でも同じ現象が起きるかもしれない。

全仏では予選を前に、6選手がPCR検査で陽性または濃厚接触者として出場できなくなった。仏国内の感染者数が再び増えているなか、当初は観客を1万人以上入れる決断をしたように、全仏の感染防止対策が全米に比べて緩く、不安に感じる選手もいる。

日が長く、快適な気候の初夏と違い、9月下旬から10月上旬のパリは朝晩冷え込み、最低気温が10度を切る日も珍しくない。気温が下がるとボールは飛びにくくなる。今年から照明が設置され、日没順延もなくなる。欧州ではインドアの大会が大半の10月、屋外のローランギャロスの戦いはどのような展開になるか。

(原真子)

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