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断罪拒み、感情の揺れ追う大森立嗣監督

大森立嗣監督「星の子」(C)2020「星の子」製作委員会

大森立嗣監督が精力的に撮っている。7月公開の「MOTHER マザー」に続き、10月9日に「星の子」が公開される。前者は育児放棄やDV、後者はカルト宗教を描くが、視点は似ている。社会から排除された人々を一方的に断罪するのでなく、渦中にいる少年や少女の感情の揺れを凝視する。その繊細さに寄り添うことで、現代社会の不毛をも浮かび上がらせる。

「星の子」はカルト宗教にのめり込む両親と暮らす15歳の少女ちひろ(芦田愛菜)を描く。その「心の揺らぎに興味をもった」と大森。紋切り型の暗い子ではない。友達もいるし、好きな人もいる。的確な判断力もコミュニケーション能力ももっている。家出した姉と違い、両親の信仰を否定も肯定もせず、ただ受け止めようとしている。そんな少女が「社会生活での軋轢(あつれき)に葛藤する姿、考える過程を撮りたかった」。

「大きい声で正しいことを言う人よりも、答えのでない繊細な感情をもって揺れている人の方に興味がある。みんなが短くてわかりやすい答えばかりを求めているけれど、言葉にできない揺らぎの方が映画では大事ではないか」。社会の思考停止のにおいは、デジタル化やコロナ禍でますます強まったと感じている。「自粛警察のように、正しいことを言おうとしすぎている」

それは映画作りの根幹にもかかわる。「モンタージュは公約数を求めるが、人の心には公約数化できない部分がある。そこに豊かさがあり、新しいものを発見できる可能性を感じる」

「MOTHER」は「ダメ母の一概に否定できない部分がひっかかり、感情の機微を描けると思った」。「星の子」の娘を救いたい一心の両親も「単なる悪ではない」。「人間には多面性がある。一方のきれいな部分だけを見せようとする社会になりすぎていないか」と語った。

(古賀重樹)

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