おひとり様こそ考えたい人生のお金 覚悟と準備が大事
結婚かおひとり様か(4)

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2020/9/28 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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今月は結婚やおひとり様ライフとお金について考えてきました。最後の週は「おひとり様のお金」というテーマについて考えてみます。

~おひとり様も人生のひとつの選択~

4人に1人は生涯未婚である時代が到来しようとしています。前回の国勢調査(2015年)では50歳の未婚率、いわゆる「生涯未婚率」は男性が23.4%、女性の未婚率が14.1%でした。将来予測では、男性は約30%、女性は約20%になるとしています。

平成初期の頃はおひとり様の人生を、まるで人生の失敗例のように取り上げる向きも一部にありましたが、今ではそれは人生の選択のひとつだと社会に理解されたように思います。

ただし、今でも問われているのはおひとり様の人生を歩む「あなた自身」の心なのかもしれません。自分の選択をしっかり受け止め、前向きにおひとり様の人生を歩むことです。

仕事をして生活にかかるお金はしっかり確保し、税金や社会保険料をしっかり払っているなら、あなたは社会に対する責任を果たしていますから、「結婚してこそ一人前」と一部の世代の人がもっているような価値観に対して、何一つ恥じることはありません。

しかし、お金の問題は自分なりにしっかり考えていく必要があります。それは実は老後にもつながっていきます。

~現役時代のおひとり様は家計の油断に注意~

おひとり様の最大の自由は「干渉されないこと」です。仕事さえしっかりこなせば、私生活は誰にも邪魔されません。何を買ってもよし、いつ寝てもよし、洗濯物をためこんでも部屋が散らかっても、誰かに怒られることはありません。

一方で、干渉されないことで、生活や家計のルールがルーズになっていく恐れもあります。いわゆる「汚部屋」になってしまったり、お金の管理がまったくできなかったりすることがあります。

結婚は、実は相互けん制の役割もあります。「あなたもちゃんとしてください」というプレッシャーが「脱いだ靴下はちゃんと洗濯カゴに入れて」「トイレを汚したら次の人のために最低限の掃除はして」というようなルールを守らせ、結果として部屋が片付くという具合です。

お金の問題もそうです。家族がいてひとりだけの問題でないからこそ、節約や貯蓄を意識する側面もあります。

干渉されないことを、もっとも注意すべきは正社員で働くアラフォー、アラフィフのおひとり様でしょう。正社員の場合、ひとりで暮らすには困らないだけの収入があり、収入をひとりの消費生活費に回すことができるからです。しばしば子育て中の同僚より優雅な消費をしていたりします。

しかし、おひとり様にはお金の落とし穴があります。それは「今」ではなく「老後」です。

~おひとり様の最大のリスクは「老後」~

どこかのドラマの主人公ではありませんが、自由を満喫しながらおひとり様人生を過ごしていると、リタイアした後、つまり老後に最大のリスクがやってきます。

まず、おひとり様の公的年金水準は必ずしも十分とはいえません。夫婦の合計でもらう年金と比べて、ひとりぶんの国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)の額は大卒初任給に及びません。非正規で働いて厚生年金に加入していなかった場合は、さらに年金額が下がります。

共働き夫婦と比べて現役時代との落差が大きいのがおひとり様の老後です。現役時代は余裕を持っていた家計が、老後にいきなり苦しい家計に転落するのです。

独身者は「自分の老後に自分で備える」ことを強く意識する必要があります。現役時代の余裕をプールし、自分の老後に移し替える発想が必要です。

そのためにはつみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇のある口座を使って、自分の数十年先のためにお金を蓄えていくことが有効です。

仮に、年40万円のつみたてNISAに20年、年27.6万円(企業年金のまったくない会社員の場合)をiDeCoに積み上げていけば、20年で元本が1352万円、年3.0%の運用益が獲得できれば合計で約1850万円の財産に成長します。これに退職金が加われば安心のメドがたちます。

「老後2000万円」ではなくおひとり様はもっとためるくらいの意識と行動が必要でしょう。

~病気や介護の心配 友人や親戚との関係も財産~

また、病気になったとき、介護を必要としたとき、おひとり様の特有の悩みがあります。それは「おひとり様」であることです。

現役時代はそれでも、病気やケガで入院すると親や兄弟姉妹、親戚に頼ることができます。しかし、親は亡くなり、同世代がどんどん高齢化していくとき、頼れる縁者は少なくなっていきます。

そんなときも、お互いに助け合える友人や親戚(特に年下の親戚)との関係を保っておくことがおひとり様には必要です。もちろん相手が困ったときはあなたが助けてあげることも必要でしょう。

また、公的な範囲では足りない介護サービスや通院に要する負担をまかなうためには、お金で「サービスを買う」ことになります。ことわざに「地獄の沙汰も金次第」といいますが、おひとり様の老後の安心も、最後はお金次第となるかもしれません。

老境に至っても人生をエンジョイし続けた人物として、作家の永井荷風が取り上げられることがありますが、彼の余裕をもたらす源泉は売れっ子作家であったことによる経済的安心と支援者の存在だったように思います。

たくさんの人たちが「おひとり様の老後」を歩む初めての時代がこれからやってきます。最期は誰でもひとりですが、生涯独身だった人には頼れる子供や孫はいません。そのとき、堂々とおひとり様人生を終わらせたいのなら、現役時代にしっかりと、お金の備えをしておきたいものです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)

フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp
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