/

TikTok米事業継続、新会社支配権で対立

中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業継続をめぐり、米中の思惑の違いが浮き彫りになっている。分離して作る新会社の支配権をどちらが握るかという見解で対立し、原則承認する考えを示していた米トランプ大統領は一転して認めない可能性に言及するなど不透明な情勢が続く。

分離する新会社の支配権を巡り、米中で見解の差が際立つ=ロイター

「オラクルとウォルマートが完全に支配しなければ承認しない」――。トランプ米大統領は21日、米FOXテレビでこう話し、中国側をけん制した。

動画アプリ「ティックトック」は若者を中心に米でも人気だったが、個人情報が中国に流出するとの懸念から米政府は配信禁止措置を発表した。米オラクルとウォルマートとの提携を条件に事業継続を認める流れに傾いていたが、バイトダンスが分離して新設する会社の支配権をめぐって思惑が交錯している。

提携案ではティックトックの国際事業を分離し、米国に新会社「ティックトック・グローバル」を設立する。バイトダンスが8割、オラクルとウォルマートが計2割を出資する見通しだ。だがこの出資比率の解釈が問題になっている。

米政府が画策するのは過半出資だ。米メディアなどによると、米ベンチャー投資会社のセコイア・キャピタルなど米投資家がバイトダンス本体に約4割を出資しているとされ、間接保有する保有分は約3割強にあたる。オラクルとウォルマートの2割と合わせると、米企業が過半を占め経営権を握っているというのが米側の立場だ。

一方、バイトダンスは21日に出した声明で、新会社は「株式の8割はバイトダンスが握る子会社となる」と改めて強調した。取締役には「バイトダンスの創業者と同社の取締役、ウォルマート最高経営責任者(CEO)が就任する」とし、中国側が経営を主導する構図を強調した格好だ。

声明は中国語のみで出しており、米国に対して弱腰と取られないよう国内の世論にも配慮したとみられる。ティックトック米国事業の完全売却案が浮上した際には中国国内で「バイトダンスは弱腰だ」との批判が出ていた。

企業法務に詳しいある弁護士は「米国側の主張はやや詭弁であるように思う。バイトダンスの4割を持っていても、必ずしも協調して行動しているわけでなく、バイトダンスを支配しているわけではないだろう」と指摘する。その上で「米国がコントロールしているという建前を維持するための説得のロジックのようにも思う」と話す。

中国共産党系メディアの環球時報の胡錫進編集長は22日、「トランプ米大統領が新会社はオラクルなどが支配すると発言した」との米メディアの報道を引用し、自身のツイッターで「(米国による支配を)強要するのはやめるべきだ。米国のユーザーが反対しなければ、ティックトックの米国事業は台無しになる」と批判した。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)も23日、米2社による提携案について中国の国営メディアが「著しく不公平」と非難していると伝えた。

米政府はティックトックの配信停止措置を27日に延期している。提携案は今後中国政府の承認も必要になり、米中双方の思惑を立てる形で落としどころを探らない限り、事業を継続するのは難しい。

(渡辺直樹、上海=松田直樹、渋谷江里子)

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン