有望株はまだ豊富 成長株と割安株の両方に目配り
外資系プロの日本株戦略(上)

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2020/9/28 2:00
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シガネール氏が運用する日本株の投資信託では、ソフトバンクグループが組み入れ銘柄のトップになっている

シガネール氏が運用する日本株の投資信託では、ソフトバンクグループが組み入れ銘柄のトップになっている

外資系の資産運用会社で、日本株の投資信託を運用しているファンドマネジャー。彼らは足元の相場をどう受け止め、どのような銘柄に投資しているのか。腕利きマネジャーの投資戦略を2回にわたって紹介する。初回は、日本企業の大型株だけでなく、中小型株も売買するエキスパートの運用を深掘りする。

「日本株には、世界の景気に連動する銘柄が多い。コロナ禍で落ち込んだ景気は中長期には必ず回復するので、日本株の先高観が強い。だが、それがいつ起きるのかは分からない」

こう話すのは、米運用大手ティー・ロウ・プライスで日本株のポートフォリオ・マネジャーを務めるアーシバルド・シガネール氏だ。欧米の個人投資家向けの公募投信と機関投資家向けの私募投信の両方を運用する。外資系の日本株投信には珍しく、大型株一辺倒ではないのが特徴だ。時価総額300億円以上の中小型株まで投資対象にしている。

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■今は個別株で運用する局面

アーシバルド・シガネール
日本の株式市場で20年の運用経験を持つ

アーシバルド・シガネール
日本の株式市場で20年の運用経験を持つ

上昇相場が訪れるタイミングが分からないから、日経平均株価などの指数に連動する投信やETF(上場投信)で大きな利益を上げることは望めない。値上がりしそうな個別株で運用した方がいい。これが今の日本株市場に対する見立てだ。

「実際、コロナショックによる暴落で足元の株価が適正な価格から大きく乖離している銘柄が多くある。有望株を手にするチャンスが普段にも増して多い」

こう指摘した上で、次のように続ける。

「コロナショックの後は、コロナ禍でも業績を伸ばす成長企業の株が買われ、価格が大きく上昇してきた。これからは出遅れた割安株が上昇する可能性が高い」

一方で、上昇してきた成長企業の株の中に、システム開発のネットワンシステムズのように騰勢がまだ続く銘柄がある。こうも考え、成長株も組み入れる。いわば、両にらみの投資スタンスだ。

成長株と割安株の比率は3対1。先述のようにコロナショック後には成長株のパフォーマンスが割安株を大きく上回ったため、成長株のウエートが高まっていた。割安株や景気循環株の組み入れを増やして、3対1の比率に戻した。

「短期では今後1年間のどこかで割安株が成長株をアウトパフォームするだろう。それでバランスが崩れたら、組み入れ銘柄を調整して比率を3対1に戻す。中長期では成長株の優位が続くとみているからだ。短期で成長株より投資妙味が高まっても、それで割安株に大きく傾けることはない」

■2タイプの銘柄を選好

シガネール氏が日本株投信の運用で一貫して追い求めてきたのは、次のどちらかに該当する日本企業の株だ。一つは、技術や社会の変化といった中長期にわたるトレンドに乗って、構造的な成長を遂げている会社。もう一つは、自ら変革を起こして不振を抜け出す会社だ。後者を同氏は「トランスフォーメーション企業」と呼んでいる。

足元で上昇の余地が大きいのはトランスフォーメーション企業の方だとみて、日立製作所のように複数の異なる事業を抱えるコングロマリット(複合企業)の株や、アクティビストファンドが保有する銘柄を注視している。

割安株に分類される銘柄の中で最も組み入れ比率が高いのは、冷蔵庫や製氷機、食器洗浄機などの業務用厨房機器を製造・販売するホシザキ。主要顧客の飲食店が軒並みコロナ禍で苦境に陥り、同社の経営も深刻な打撃を受けている。だが、コロナが収束して製品需要が回復すれば、同社の株価は大きく反発する。そう期待を寄せている。

(中野目純一)

[日経マネー2020年11月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年11月号 年末高の波に乗れ! 年後半の稼ぎ方&勝負株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/9/19)
価格 : 750円(税込み)

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