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英HSBC株急落、25年ぶり安値 マネロン報道や中国懸念

英HSBCは米中対立の激化に揺さぶられている(ロンドンの本社)=ロイター

【ロンドン=篠崎健太】英金融大手HSBCホールディングスが投資家の厳しい視線にさらされている。過去に詐欺集団の資金移転に関わったと報じられたほか、中国の制裁対象に今後なり得るとの現地メディアの報道も重なったためだ。国外事業の先行き不透明感が嫌気され、株価は約25年ぶりの安値圏に沈んだ。

香港に上場するHSBC株は21日、前週末より5.3%安い29.3香港ドルと日中の安値で取引を終えた。米金融危機後の2009年3月の底値を割り込み、95年5月以来となる四半世紀ぶりの安値をつけた。ロンドンの上場株も5.3%安と急落し、年初来の下落率を5割強に広げた。

週明けに株価が急落した個別要因は2つ。まず米政府の内部文書を分析した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の20日の報道だ。違法なマネーロンダリング(資金洗浄)に利用されていた大手金融機関の1社として名前が挙がった。

HSBCは12年12月、資金洗浄を防げなかった責任を問われ、米当局から約19億ドル(約2千億円)の制裁金を科された。ICIJや調査に加わった英BBCによると、対策の徹底を約束後の13~14年にも8千万ドル規模の投資詐欺をめぐり、不審な点に気づきながら犯罪集団の国外送金を許した疑いがあるという。

疑わしいお金の動きについては、米財務省の調査機関に提出される「不審行為報告書(SAR)」を基に報じられた。HSBCは「全て過去のものだ。12年から金融犯罪に対処する能力の見直しに乗り出した」との声明を出し、資金洗浄を防ぐ体制の改善ぶりを米司法省も認めていると強調した。

株安を誘ったもう1つの材料が中国の制裁への懸念だ。中国商務省は19日、特定の外国企業を「信頼できない企業」に指定し、中国との取引を制限できるようにする規則を施行した。共産党系メディアの環球時報(電子版)は同日の記事で、制裁の対象になる可能性がある企業としてHSBCを例に挙げた。

記事は「中国企業の取り締まりを悪意を持って外国政府に働きかけた企業も対象になる」との専門家の見方を紹介した。HSBCについては中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)のカナダでの逮捕に協力した疑いがあると触れた。HSBCは捜査への関与を否定しているが、市場では「中国での事業が困難になるリスク」(欧州大手銀)に警戒感が浮上した。

利益の大半を香港や中国本土に依存するHSBCにとって、仮に中国との関係が悪化すれば経営の根幹が揺らぐ。6月には中国が香港の統制強化へ施行した「香港国家安全維持法」への支持を表明し、米英の高官や政界から批判を浴びた。ただでさえ警戒されていた米中対立の悪影響への不安がさらに広がった。

21日の欧州市場では、資金洗浄報道で名前が挙がったドイツ銀行や英スタンダードチャータード銀行の株価も大きく下げたほか、幅広い銀行株に売りが波及した。英CMCマーケッツのデービッド・マデン氏は「当局の対応がさらに厳しくなる可能性が意識された」と話す。報じられたのは過去の事案だが、金融犯罪を防ぐ一段の対策や説明が求められそうだ。

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