トランプ氏vsバイデン氏、外交 2国間か国際協調か
米大統領選 危機への処方箋(4)

米大統領選
2020/9/24 22:11
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トランプ氏(右)とバイデン氏はコロナ対策や中東政策などで大きな溝がある=ロイター

トランプ氏(右)とバイデン氏はコロナ対策や中東政策などで大きな溝がある=ロイター

トランプ米大統領への信頼度は16%と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席(19%)より低い――。米ピュー・リサーチ・センターが9月に公表した世論調査に、米国務省で波紋が広がった。

対象は日本やオーストラリア、英仏など欧州の計13カ国で、いずれも米国の同盟国や友好国だ。米国への好感度もオバマ前政権から大幅に落ち込み、過半数の国で過去最低になった。調査結果は米国の威信と同盟関係の揺らぎを映す。

「トランプは同盟国やパートナーを軽視し、時には見捨ててきた」。米大統領選の民主党候補、バイデン前副大統領はトランプ氏の外交・安全保障政策をこう非難し、失墜した指導力の回復を訴える。その処方箋が多国間主義と国際協調だ。

「新冷戦」ともいわれるほどの対立関係にある中国にどう対処するか。ポンペオ国務長官らが同盟国との連携を訴える半面、トランプ氏は日本や欧州連合(EU)などに制裁関税を科すと脅し、一部を実行に移してきた。トランプ氏は同盟国の存在を軽視し、海外の米軍駐留経費や貿易赤字の削減など2国間での取引を重んじる。

バイデン氏の政策アドバイザーはこうした手法を「ちぐはぐで戦略性がない」と一刀両断する。貿易面などでの懸案は脇に置いて協調の障害を取り除き、同盟国と対中連携をより効率的に進める道筋を描く。

「パンデミックや気候変動といったグローバルな課題は中国との協力が欠かせない」。バイデン氏はトランプ氏が脱退や破棄を決めた世界保健機関(WHO)やパリ協定といった多国間の枠組みへの回帰も説く。米国の不在を突いて国際機関で中国が一段と影響力を強める事態を防ぐ狙いもある。

両候補の手法の違いは、支持者の意識と表裏一体だ。米シンクタンク、シカゴ・カウンシルの調査で北大西洋条約機構(NATO)への支持は共和党支持層で60%と、比較可能な1974年と同じ最低水準となった。民主党支持層(85%)と大きな開きがある。共和支持層は国際機関への信頼度も低い。

中東政策でも違いはあらわだ。「米国は孤立している。トランプはロシアや中国をイランに接近させてしまった」。バイデン氏はトランプ氏が離脱を決めたイラン核合意への復帰を唱える。トランプ政権はイランへの国連制裁の全面復活を宣言したが、核合意の当事国である英仏独や中国、ロシアは同調していない。

もっとも、トランプ流には成果もある。核合意に否定的だったイスラエルとの関係修復に動き、中東安定につながるアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの国交正常化を仲介した。「この取り組みを拡大する」。バイデン氏もこう評価する。

トランプ氏はアフガニスタンやイラク、シリアの駐留米軍の早期の完全撤収をめざす。一方、バイデン氏は縮小を掲げながらも「ペルシャ湾周辺の警戒にあたる米軍は中東に残す」として完全撤収には慎重だ。

中東から手を引く方針では一致する両候補の違いは、世界各地の紛争解決に米国がどれだけ関わるかの温度差を反映している。バイデン氏はある程度の関与はやむを得ないとの立場をとる。

(ワシントン=永沢毅)

=この項おわり

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