WeChat配信禁止に待った 米連邦地裁が一時差し止め

米中衝突
2020/9/20 22:57
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米連邦地裁は中国発の対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」の提供を禁止する米大統領令について執行の一時差し止めを命じた=ロイター

米連邦地裁は中国発の対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」の提供を禁止する米大統領令について執行の一時差し止めを命じた=ロイター

【シリコンバレー=白石武志】米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁が、中国発の対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」の提供を禁止する米大統領令の執行を一時的に差し止める命令を下したことが20日、明らかになった。配信禁止命令の発動が20日夜に迫るなか、安全保障上の脅威を取り除こうとする行政の動きを、司法がブロックする異例の事態となった。

トランプ米大統領が8月に出したウィーチャットの米国内での配信を禁止する大統領令は違憲だとして、米ニュージャージー州に本拠を置くNPOが米政権を相手取った訴えを起こしていた。原告側は同アプリの利用が禁止された場合、回復不可能な損害が生じると主張し、執行の差し止めなどを求めていた。

同地裁のビーラー判事は19日付の仮差し止め命令の中で原告側の主張を大筋で受け入れ、大統領令の執行を全国的に差し止めるよう求めた。ただ、大統領令が違憲にあたるかどうかについては今後も審理を重ねる方針とみられる。

同判事は、中国の技術が米国の安全保障の脅威となっている点について一般的な証拠はかなりあるとする一方、「ウィーチャットに関する具体的な証拠は限られる」とした。

米商務省のロス長官は18日、大統領令に基づき20日夜からウィーチャットに対するサーバーやコンテンツ配信網などの提供を止めるよう米国内の事業者に命じていた。配信禁止まで1日を切る土壇場での差し止め命令に対し、アプリの配信基盤などを提供するグーグルやアップルなどがどう対応するかが焦点となる。

中国のネット大手の騰訊控股(テンセント)が提供するウィーチャットは中国語話者を中心に米国内で1900万人が利用するとされる。新型コロナウイルスで人々の移動の自由が制限されるなか、中華圏に住む家族や友人らとの重要な通信手段にもなっている。

米国ではトランプ政権になってから、連邦地裁が大統領令を差し止める事例が急増した。米政府系放送局「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、オバマ政権時は年に平均で2.5件だったが、トランプ政権発足後は最初の1年間で20件に到達した。

地裁による差し止めの対象となった大統領令の内容は外交、移民関連で目立つ。17年、不法移民に寛容な措置をとるニューヨークやサンフランシスコなどへの補助金を打ち切る大統領令には、カリフォルニア州の連邦地裁が差し止め命令を出した。

ただ地裁が差し止めても、米政権が上訴して政策を押し通すケースもある。17年1月にイスラム圏6カ国からの入国を制限する大統領令を出した際は、ワシントン州の連邦地裁が約1週間後に一時差し止めた。米政権はその後新たな大統領令を出し、それにはハワイ州が一時差し止めを命じた。政権は連邦最高裁に直接上訴。最高裁は制限措置を差し止めた下級審の命令を無効とし、新大統領令の執行を認める形となった。

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