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マラソンの今 ビジュアル解説

Tokyoオリパラ
厚底革命 シューズにかける
2020/9/27 2:06
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公園、河川敷、街中で、いつでも誰かが走っている。

ランニングブームが日本に広がって久しい。2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が求められ、気分転換や運動不足解消の方法として選ばれたのもランニングだった。

■インド人は200%以上増!?

日本だけの現象ではなく、ランニング愛好家は世界的にも増加傾向にある。19年に世界陸連が主催したグローバルランニングカンファレンスでRunRepeatが発表した調査によると、全世界のランニング人口は08~18年までで49.43%増えた。アフリカやアジアで愛好者が増え、国別ではインドがなんと229.86%も増えたという。

日本では笹川スポーツ財団が2年ごとに調査を実施している。2018年にジョギングやランニングを年1回以上実施した推計人口は964万人、人口の約8%にあたる。週1回以上は同550万人に上った。世代別では20、30代の実施率が高く、特に30代は年1回以上が15.2%と過去最高を記録。男性がけん引役となり、ランニングへの意識は人口規模が大きい東京都区部に住む人ほど高い。

■シューズにお金は惜しまない?

調査会社のエヌピーディー・ジャパン(東京・港)によると、2018年12月から19年11月までのフットウエア(スポーツ関連シューズ)市場規模は5390億円。このうちランニングシューズ(中長距離陸上競技専用シューズを含む)は1250億円(グラフは各年1~12月で集計)と23.2%を占め、前年同期比5.8%増。男性が市場の成長を支えた。

需要の高まりとともにシューズへの関心も高まっている。近年は1万1千円以上の高価格帯が伸びており、前年同期比13.6%増で売上高の3割に達した。現在、市場を席巻するナイキの厚底シューズでは最新モデル「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」が3万3千円(税込み)と高額ながら、今年の東京マラソンで大迫傑(ナイキ)が着用して注目された。各メーカーも商品開発を急いで高機能、高品質のシューズを次々投入しており、市場価格を押し上げている。

■ランナー憧れのWMM

ランニングブームの火付け役と言われているのが、2007年に始まった東京マラソンだ。フルマラソンの部には毎年、国内外から3万人以上が参加する国内トップの大会だ。都心の名所を巡るコースが多くの市民ランナーを引き付けている。今年は新型コロナの影響で一般参加を中止したが、エントリー抽選倍率は約11倍と毎年狭き門となっている。

世界には市民ランナーが憧れる6つの大規模大会があり、「ワールド・マラソン・メジャーズ(WMM)」と呼ばれる。13年大会から加入した東京をはじめ、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティーで構成。最高峰シリーズとして世界のエリート選手も出場する。

世界屈指の高速コースとして名高いベルリンは2000年以降、男子では何度も世界記録が生まれ、08年にハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)が史上初めて2時間3分台に突入した。14年にはデニス・キメット(ケニア)が2時間2分台をマーク。18年にエリウド・キプチョゲ(ケニア)が現在の世界記録である2時間1分39秒で走った。

日本女子の歴代3位までの記録は全てこの地で出したもの。00年シドニー五輪金メダリスト、高橋尚子さんが01年に出した2時間19分46秒は女子で史上初の2時間19分台という偉業だった。

ボストンは1897年創設。前年の第1回五輪アテネ大会に刺激を受けて始まった世界最古のマラソン大会だ。世界陸連が定めるコース条件を満たしていないため公認記録とならないが、30キロすぎに待ち受ける「心臓破りの丘」と言われる急坂が特徴。18年には川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)が瀬古利彦さん以来、日本勢31年ぶりの優勝を果たした。

■2時間切りは現実に、日本記録は世界歴代84位

マラソンの高速化は進み、男子の世界記録はこの20年で4分以上も縮まった。現在、世界歴代20傑までをケニアとエチオピアで独占。しばらく時計の針が止まっていた日本勢も、18年東京で設楽悠太(ホンダ)が16年ぶりに日本記録を更新。その半年あまり後に大迫が抜き、20年東京で自身の記録を21秒縮めた。2時間5分29秒の日本記録は世界歴代84位にあたる。

日本女子は野口みずきさんが2時間19分12秒で走った05年ベルリン以降停滞し、世界から後れを取っている。女子の世界記録は03年ロンドンで記録したポーラ・ラドクリフさん(英国)の2時間15分25秒が壁となっていたが、19年シカゴでブリジット・コスゲイ(ケニア)が初の2時間14分台をたたき出して世界を驚かせた。

キプチョゲもコスゲイも、そして大迫もナイキの厚底シューズを着用している。世界の高速化は、ランニングに必要な唯一の用具であるシューズの技術革新と切り離して考えることはできない。

自身の能力を最大限引き出してくれるシューズに出会えるか。記録への挑戦はそこから始まっている。

(渡辺岳史)

グラフィックス 藤沢愛、動画制作 今井拓也

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