イベント制限緩和、にぎわい半ば 慎重姿勢の施設も

2020/9/19 20:49
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入場制限が緩和され、全席販売が再開された東京・渋谷の映画館。隣同士の席に座ることができるようになった(19日午前)=共同

入場制限が緩和され、全席販売が再開された東京・渋谷の映画館。隣同士の席に座ることができるようになった(19日午前)=共同

政府によるイベント制限が19日に緩和され、大声を出さないなど感染リスクの低い施設でも収容人数いっぱいの集客が認められるようになった。各地の映画館などからは歓迎の声が上がる一方、施設によっては自主的に入場制限を続けるなど慎重な姿勢も見られた。

「一緒に座れてうれしい」――。19日から全席販売を開始した東京都内のシネマコンプレックス(複合映画館)は、友人同士や親子連れの客でにぎわった。ロビーには全席販売の再開を知らせるパネルが設置され、劇場内では飲み物を持ち込むことは認められているが、食事はできないことなどを観客に告知された。

母(59)と一緒に訪れた東京都品川区の女性会社員(30)は「先日、友人と来た時は1席飛ばしで座ったので寂しかった。映画館ではしゃべらないし、マスクも着けているから安心だと思う」と笑顔を見せた。

昆虫から哺乳類まで数多くの生き物を紹介する「足立区生物園」(東京・足立)も、150人までとしていた入場制限を解除。親子連れなどで混雑する週末は、入場制限のため入園までに2時間ほどかかる日もあったという。同園の担当者は「スムーズに入園して楽しんでもらえる」と制限解除を喜ぶ。

一方、コンサートや演芸などを開催する施設からは全席販売の再開に慎重な声も漏れる。

クラシックを中心としたコンサートを開く「すみだトリフォニーホール」(東京・墨田)は9月中は座席数を50%以下に抑える運営を維持する。「いきなり全席開放すれば、不安に感じる観客は少なくない」(担当者)といい、座席数は10月公演から徐々に増やす方向で、時間差の入場などの新たな対策も検討する。

上方落語の定席「天満天神繁昌亭」(大阪市)も、216席のうち、現在は前後左右の席を空け約100席に観客を入れているが、当面は変更しない。7月上旬に再開して以降、チケットの売れ行きは販売数に対して6~7割程度。担当者は「まだ不安に思う観客もいるだろう。制限が緩和されたとはいえ手放しでは喜べない」と話す。

制限緩和は落ち込む客足を戻す契機になるか。施設からは効果を疑問視する声も上がる。

「感染の終息はいまだ見えない。制限を緩和したからといって客足が戻るのか」。東京都渋谷区のミニシアター「ユーロスペース」の北條誠人支配人は不安を口にする。半数に抑えていた入場数を19日から全席に拡大。6月に比べれば客足は戻るものの、昨年の7割にとどまるなど「すぐ元通りとはいかないだろう」。

換気の観点から独自に入館制限を設ける東京国立博物館(東京・台東)の常設展でも客足の落ち込みが激しく、1時間あたり400人という基準に来館者数が遠く及ばない日々が続く。例年は平日でも5千人を超える来館者数が、現在は週末も1千人ほど。担当者は「そもそも客足の戻りが追いついていない」とため息をつく。

それでも今後、講演会や仮想現実(VR)のシアターなどは緩和を受けて参加人数を増加させるなど対応を検討する。担当者は「博物館として感染対策は徹底している。外出先として選んでもらえるよう、安全面をアピールしていきたい」と力を込める。

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