豊かな歴史・文化 PR磨け ハタヤママサオさん
関西のミカタ ポップ・アーティスト

関西タイムライン
2020/9/23 2:01
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 はたやま・まさお 1976年大阪府生まれ。独学でアート活動を始める。個展を中心に官公庁や大企業とのコラボ、ライブペイントなどを展開。大阪水上バスなどの立体ペイントも。「アートストリーム2013 関西・大阪21世紀協会賞」受賞。

はたやま・まさお 1976年大阪府生まれ。独学でアート活動を始める。個展を中心に官公庁や大企業とのコラボ、ライブペイントなどを展開。大阪水上バスなどの立体ペイントも。「アートストリーム2013 関西・大阪21世紀協会賞」受賞。

■大阪府在住のポップ・アーティスト、ハタヤママサオさん(44)は、原色を多用した独特の色彩感覚で見る人を元気づける作品を描いてきた。コンセプトは「POPは人をHAPPYにする」。題材は様々で浮世絵や関西の世界遺産にも及ぶ。

昨年は世界遺産登録を記念して仁徳天皇陵古墳を中心に堺の絵を描き、堺市に寄贈した。地域活性化を目指す市民団体「みんなで南の大阪を元気にする会」に依頼されたもので、現地で感じることが大事だと思い、古墳や博物館などを見て回った。

中央の古墳は完成当時を想像して金色にした。最初は樹木がなく、敷き詰めた石が太陽の光を反射し、巨大権力の象徴のように輝いていたと聞いたから。周りにはモズやこいのぼり、千利休や刃物、鉄道や市庁舎などを描いた。堺にまつわる様々なものが時空を超えてお祝いに駆けつけた、というイメージだ。

かつては京都よりも栄えていたなど堺について知らないことが多く、色々な発見があった。歴史や文化などの魅力を知れば知るほど、もっと生かせばいいのにと感じた。堺は大阪から近いのに遠いイメージもある。もったいない。関西全体もそうだが、アピールがヘタなのではないか。

世界遺産の古墳を中心に新たな堺像を描いた(右は永藤英機・堺市長)

世界遺産の古墳を中心に新たな堺像を描いた(右は永藤英機・堺市長)

■世界遺産では奈良県吉野町の吉水神社にも、吉野山の桜と鳳凰(ほうおう)を描いた作品を奉納した。

歴史上の大きな出来事が3つもあったと知り、驚いた。まず兄の源頼朝に追われた義経が弁慶と隠れていたこと。さらに後醍醐天皇が行宮とし、豊臣秀吉が花見を催している。大阪や奈良だけでなく、京都にも知られざる魅力がたくさんあると思う。

関西のアピールには一役買いたい。堺では古墳を上空から眺める気球の計画が延期されたが、実現したら気球に絵を描きたい。ギャラリーがある大阪市のビルでは壁面のペイントに取り組んでいる。ビルペイントが広がれば2025年の大阪・関西万博に向け元気な大阪を演出できる。

関西には絵の題材だけでなく、アーティストも多い。エネルギーもある。大阪は東京や名古屋にひけを取らない。ただ関西には作品を発表する場、才能を生かす機会が少なく、自信をなくして芸術活動をやめていく人もいる。スポンサーとなる経済人に短期的なもうけを気にする人が多いことも一因かもしれない。

■17年からパリやトリノなど海外での活動も始めた。今年はニューヨークで個展を開く予定だったが、新型コロナウイルスのため来年に延期を余儀なくされた。

アートどころではないかと思ったが、渡航費などの支援を求めてクラウドファンディングを始めてみたら、目標の100万円に対して240万円が集まった。

ネットでの購買も含め、自粛ムードが強まるほど自分の作品が求められていると感じた。コロナで暗い気持ちになった人が「元気になる」「勇気が出る」と自分の絵を見たがっている。描いている時は意識していないが、これがアートの力だ、必要とされているんだと自信になった。

今後は、例えばナイキとコラボするなど世界的な仕事をしたい。関西人はオリジナリティーがあり、ノリがいいので欧米人と波長が合う。作品の評価も欧米では良いなら良い、アカンならアカンとはっきりしており、行けば行くほど自信が深まってくる。職人的な要素も受ける。関西の芸術家は東京を経由せず、直接欧米に出た方がいい。

「もっと修業し、語学力もつけてから」と海外進出に慎重な人が多いが、ビビらずに行けと言いたい。やりたいことは同時並行で全部やらないと。アートに正解はない。欲をもって挑戦すべきだ。

(聞き手は塩田宏之)

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