米国防長官「国防費はGDP比2%以上に」 同盟国に要請
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【ワシントン=永沢毅】エスパー米国防長官は16日、日本を含む同盟国に「国防費を国内総生産(GDP)比で少なくとも2%に増やしてほしい」と表明した。中国やロシアに対抗するためと説明し「私たちの相互の利益と安全、共通の価値を守る」と訴えた。米国の負担軽減につなげる狙いもある。
米シンクタンクの講演で明らかにした。「同盟国、友好国は軍事力の向上に向けて必要な投資をするよう求める」とも力説した。その後の質疑応答では「中国は米国との対立だけを考えればいいわけではない」と述べ、日本やオーストラリア、韓国などを列挙し、対中包囲網を構築して中国に対抗する方針を改めて強調した。
北大西洋条約機構(NATO)はオバマ前政権時代に2024年までに国防費をGDPの2%にあげる目標を掲げた。NATO以外の国に類似の数値目標を示したのは初めてとなる。トランプ政権は米国の一段の負担軽減に向けて早期の実現を求めているが、達成したのは加盟30カ国のうち米を含む9カ国だけだ。
日本の防衛費はGDP比で約0.9%にとどまるが、岩屋毅元防衛相はNATOの基準に基づけば最大約1.3%になるとの試算を示したことがある。エスパー氏の発言は、21年3月で今の協定が期限を迎える在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の交渉にも影響を与える可能性がある。
19年末に期限切れとなった在韓米軍の駐留経費を巡る協定の交渉は難航しており、決着していない。