黒田日銀総裁会見要旨 「地銀統合も選択肢」

2020/9/17 20:42
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問 会合の決定内容について。

答 長短金利操作のもとでの市場調節方針について現状維持を決定した。長期国債以外の資産の買い入れ方針に関しても現状維持を決定した。我が国の景気は新型コロナウイルスの影響により引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するなかで持ち直しつつある。先行きは経済活動の再開とともに改善基調をたどるが、コロナの影響でそのペースは緩やかなものにとどまる。

問 日銀によるコロナ対応策の効果は。

答 金融市場ではひところの緊張は緩和している。金融機関の貸し出し態度は緩和的で、コマーシャルペーパー(CP)や社債の発行環境も極めて良好だ。今後も資金繰り支援と市場の安定維持に努めていく。

問 16日に菅内閣が発足した。今後の金融政策運営は。

答 引き続き現在の金融政策運営のもとで日本経済を支えていきたい。2013年1月の共同声明にもある通り、政府と日銀のそれぞれの役割を認識しつつ、協調して政策を進めていくことに変わりない。

問 アベノミクスの成果と課題は。

答 大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢を通じて雇用が大幅に改善した。デフレという状況ではなくなった。ただ、2%の物価安定目標の達成は残念ながらまだ実現していない。努力していく必要がある。

問 共同声明のあり方を議論する必要はないか。

答 共同声明はデフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために政府と日銀が連携してマクロ政策の運営にあたることを示した。引き続きこうした考え方に沿って適切な金融政策運営を行っていきたい。2%の物価安定の目標を変更する必要があるとは全く考えていない。引き続き実現を目指して努力していく。日本だけでなく欧米も新型コロナの影響で物価上昇率は大きく低下している。ただ、そのことが日本を含めて欧米各国でも2%の物価安定の目標を変えようという話には全くなっていない。

問 菅首相の進める携帯料金引き下げや「Go To キャンペーン」などは物価の下押しにつながるのではないか。

答 一時的に物価が下がることはあり得るが、趨勢的な物価に対する影響とは違う。潜在成長率を上げたり対面サービスへの需要を高めたりといった効果がある。

問 安倍前首相が退任したが、黒田総裁は残りの任期を全うするつもりか。

答 確か私の任期はあと2年半くらい残っていると思うが、途中で辞めるつもりはない。任期を全うするつもりだ。

問 菅首相の強調する規制改革、痛みを伴う改革は景気が悪い今、進めにくいのではないか。

答 改革は様々な痛みを伴うが、経済が大きなショックを受け、改革が必要だと広く認識されている。実行される可能性は十分にあると思っている。日銀としては、金融緩和を通じて一種のセーフティーネットを引き続き供給していく。

問 国債購入の上限撤廃など、日銀は財政健全化の先送りを容認しているのではないか。

答 財政運営は政府・国会の責任で行われている。日銀の国債の買い入れは金融政策運営上の必要に基づき実施している。政府の財政ファイナンスをしようという話ではなく、日銀として物価の安定という使命を果たしている。

問 菅首相が地銀の再編の必要性に言及した。

答 地域の人口や企業数が減少しているなか、地域金融機関の競争が激化して収益性を低下させている。それぞれの金融機関の経営努力が重要だが、金融機関の統合あるいは連携も当然、選択肢のひとつだ。

問 米連邦準備理事会(FRB)は緩和政策を長期化する方針だ。

答 FRBの方針は日銀のこれまでの政策運営の考え方と軌を一にしたものだ。米国経済、ひいては世界経済の持続的な成長に資するものと期待している。

問 雇用が弱まり、いずれ物価への影響があると判断すれば緩和をいとわないということか。

答 雇用の急激な悪化などが生じ、物価に大きな影響を与えるとみれば、追加的な金融緩和を検討する。

問 これまでの株高は日銀の金融緩和策によるバブルではないか。

答 特に異常な株高ではない。株価は足元から将来にかけての企業収益を反映して決まる。世界経済や日本経済は今後回復していくという見通しで、そういったものを踏まえて株価形成がなされている。欧米でも新興国でも同様だ。

問 電子決済サービスで預貯金の不正流出が起きている。

答 様々なかたちでキャッシュレス決済への取り組みが加速している。従来とは異なるシステムリスクや個人情報管理などの新たな問題にさらされる可能性がある。今後も金融機関に対して各種リスクへの対応、サイバーセキュリティーの確保を促していきたい。

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