ブルー・ノート現象 放送大学教授 松原隆一郎
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外国から学んだ表現技術で、異なる世界に生きる自分たちの「心」は表現されるものだろうか。昭和24年の木下惠介「お嬢さん乾杯!」では、「土佐の高知のはりまや橋で」と民謡を唄う成金の佐野周二が、ショパンを弾きこなす原節子のお嬢様と生活の差を痛感し、去っていく。そんな佐野を原は追い、「惚(ほ)れております」と宣言する。ショパン風の「好き」や「愛してる」では、心が十分に伝わらないからだ。
山下洋輔の「ブルー...
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