雪国まいたけの足利社長「神明と相乗効果さらに」
マイタケなどキノコ類を生産・販売する雪国まいたけが17日、東証1部に上場した。初値は公開価格(2200円)を4.5%下回る2100円、終値は2090円だった。同日に記者会見した足利厳社長は「(親会社になった)神明ホールディングスとのシナジーをさらに高め、外食や中食向けの販路を広げていきたい」と意気込みを述べた。主なやりとりは以下の通り。
――初値は公開価格を下回る結果となりました。

「真摯に受け止めたいと思っている。当社としては今後も業務にまい進し、企業価値を高めていく。情報開示をしっかりとして、投資家に信頼される企業を目指していきたい」
――事業に新型コロナウイルスの影響はありますか。
「当社は販売量の9割が小売店向けの直販だ。外食などの業務用販路は10%にも満たない。(巣ごもり消費で)小売店の売り上げの伸びが顕著だったため、マイタケの販売にも追い風になった。ただ、コロナの流行が長期化しており消費マインドの冷え込みを懸念している。消費者の健康意識が高まっており、その需要をしっかり捉えていきたい」
――上場にあわせて株を追加取得した神明ホールディングスが親会社になりました。どう相乗効果を高めていきますか。
「西日本での販売にさらに力を入れる。西日本はもともとマイタケの消費が少ない。神明が持つ外食や中食とのネットワークで当社のマイタケを扱ってもらうなど、しっかりと販路を活用していきたい」
――今後取り組む経営課題は何ですか。
「1番は、マイタケ工場のファクトリーオートメーション(FA)化だ。昨年まで秋と冬はフル稼働で、非常に現場も苦労した。生産能力を増やすためにも、人手に頼っている包装工程などの自動化を早急に進めなければいけない」
――海外への販路拡大を目指しています。中国に参入して撤退した経緯もありますが、再参入の勝算をどう考えていますか。
「2005年に進出し、エノキダケを中国で人工栽培した。ただ技術的な参入障壁を構築するには至らず、後から参入者が増えて価格が下がり撤退した。一方、マイタケは中国でまだ人工栽培の技術が確立しておらず、参入障壁も高い。健康食品として消費者の関心も高く、中国は非常に有力な進出先だと考えている。販売面では、現地の有力な企業とアライアンスを組んで展開するのも一つの手と、考えている」
(斉藤美保)
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