スポーツ > ラグビー > 熱視線 > 記事

熱視線

フォローする

堅忍不抜、コーチの父と歩む ラグビー・具智元(下)

2020/9/20 3:00
保存
共有
印刷
その他

福々しい笑顔を見せる具は不平不満を漏らすことはない=(C)Honda HEAT

福々しい笑顔を見せる具は不平不満を漏らすことはない=(C)Honda HEAT

愛称は「ぐーくん」。ラグビー日本代表の具智元は福々しい顔にいつもえくぼを浮かべている。不平不満とは無縁。「我慢強い。3番(右プロップ)向きの性格」。昨年のワールドカップ(W杯)で日本代表のスクラムコーチを務めた長谷川慎は評する。右プロップはスクラムで相手の重みを最も受けるポジション。その重責に必要な堅忍不抜の心を具は持っている。

それは意外な長所の一因でもある。W杯で代表の体づくりを担当した太田千尋によると「具はあの体格だけど加速回数がすごく多い。一瞬一瞬のスピードが出ている」。チームは選手の働きを評価するため、ダッシュなどで一定の加速度に達した回数を数えていた。チーム最重量の具の加速回数はFW屈指だった。

本人は首をひねる。「特に意識をしたことはない。自分たちはキックを多く蹴っていたけれど自分のせいで(防御ラインに)穴が空いて抜かれたりするのがすごく嫌で。毎回、必死に先輩に追いついて走ろうとはしていた」

真面目すぎるところが玉にきずか。日本文理大付高時代の恩師、染矢勝義は「具は決勝の前とか大事なところでよくケガをした。絶対に手を抜かないから」と振り返る。自覚はある。「個人練習をやらないと不安になっちゃう。そういうときに肉離れしちゃうことはあるかもしれない」

善人すぎると心配する人もいる。「長谷川慎さんからは『もっと自分から行け』『やられる前にやるという強い気持ちを持て』とよく言われる」。スクラム、モールなどの密集戦の中では暗闘がある。そこでも激しく戦ってほしいという期待である。代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフからも「あまり人に対して言えない性格を改善したらもっと良くなる」と助言された。

憧れの存在がウェールズ代表のプロップだったアダム・ジョーンズ。「スクラムで相手が倒れても押して、メチャクチャ圧倒するのがすごくかっこいい」。獅子のような長髪をなびかせ押しまくった名手のような勇猛さを具が手に入れれば、鬼に金棒だろう。

W杯後の昨年12月、日本国籍を取得した。この秋、別の転機も。自身と兄の智允が所属するホンダのスクラムコーチに父の東春が就任。「お父さん、お母さんと一緒に生活して、個人練習のときもお父さんに見てもらえる。すごいいいことだし、ホンダのスクラムも強くなったら楽しい」

東春が目指すスクラムは右プロップを前面に出す組み方。具にかかる責任はより重くなる。十数年ぶりに毎日、父の指導を受けることも刺激になると言う。「お父さんが来たのに、試合でうまく組めなかったらどうしようという緊張感も大きい」。大きな肩をすくめ、照れ笑いした。=敬称略

(谷口誠)

熱視線をMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

ラグビーのコラム

電子版トップスポーツトップ

熱視線 一覧

フォローする
福々しい笑顔を見せる具は不平不満を漏らすことはない=(C)Honda HEAT(C)Honda HEAT

 愛称は「ぐーくん」。ラグビー日本代表の具智元は福々しい顔にいつもえくぼを浮かべている。不平不満とは無縁。「我慢強い。3番(右プロップ)向きの性格」。昨年のワールドカップ(W杯)で日本代表のスクラムコ …続き (9/20)

具は父と長谷川コーチの教えを会得した

 太ももの周囲は73センチと大人のウエストほどもある。体重122キロはラグビー日本代表で最も重い。厚い胸板に大きな臀部(でんぶ)。具智元はまさにスクラムを組むための体を持って生まれてきた。
 その体格に …続き (9/20)

昨年のW杯スコットランド戦でスクラムを組む具。日本初の8強に貢献した

 何人もの代表選手が大会のベストプレーに挙げた。日本のラグビー史上、最高の場面の一つでもあっただろう。赤白のジャージーが一枚岩となって前進する。緑の集団に亀裂が入る。たまらず顔を上げた相手を押しのけ、 …続き (9/20)

ハイライト・スポーツ

[PR]