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豊島逸夫の金のつぶやき

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2024年以降もゼロ金利の可能性浮上

2020/9/17 13:34
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8月のジャクソンホール中央銀行フォーラムでパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は米国のインフレ率が「平均」2%を超えても緩和を続ける、という金融政策の歴史的転換を発表した。それゆえ、今回の9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加緩和について具体的に同氏が何か語るのか、市場は期待をいだき見守った。

「平均」2%とは具体的に何%まで許容するのか。量的緩和の増量はあるのか。金融政策の方向性を明示するフォワード・ガイダンスとして特に新たな要素が加わるのか。

しかし、FOMC後の恒例の記者会見で、パウエル氏が市場の「おねだり」に応えることはなかった。一時前日比360ドル超まで上昇していたダウ工業株30種平均も、パウエル記者会見中に下げ続け、結局36ドル高で引けた。債券市場では金利が上昇。10年債利回りが0.6%台から0.7%台の攻防になった。

記者会見でパウエル議長は、インフレ率のオーバーシュートを許容することを正式にFOMC声明文に盛り込んだことを「強力な政策」と、しきりに強調した。自画自賛のごとき印象さえ与えた。

今回のFOMCでは2人の反対者がいたので、あえて配慮して詳細な説明を回避したのかもしれない。カシュカリ・ミネアポリス地区連銀総裁(一貫したハト派)とカプラン・ダラス地区連銀総裁(中道派)がそれぞれ異論を唱えている。

「財政政策の重要性」も繰り返し言及された。しかし、米議会は紛糾。いまだに追加的財政支援策は決まっていない。

マーケットにはモヤモヤ感が残る。

とはいえ、FOMC参加者の金利予測(いわゆるドット・チャート)を見れば、少なくとも2023年までゼロ金利が継続される見通しだ。24年以降の「長期」にやっと「利上げ、ゼロ金利脱出」との見立てだ。

さらに今回発表されたFRB経済見通しでは23年とその後の長期も予想インフレ率が2%にとどまる。金融政策を全開モードにしても、2%超えは達成できないことになる。24年に限ればいまだ利上げできずゼロ金利の見立てさえウォール街では浮上してきた。いずれにせよ投資家のリスク選好度が基調として高い水準を維持するシナリオが想定できる。

なお、今後のFRBの政策課題としては、コロナ禍で困窮している産業セクターに必要なマネーが行き渡ることが重要だ。FRBが民間企業に融資するという前例なき緊急措置が発表されたが、手続きが煩雑で結局民間の銀行融資で賄われている。社債購入もいまだ実施事例は限定的だ。追加緩和の前にやるべきことは山積している。

マーケットも、単に追加金融政策の有無に一喜一憂するのではなく、発表済みのコロナ対策の実行度をまずは確認すべきであろう。

豊島逸夫(としま・いつお)

 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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