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大会再開の動き、国内外で 東京オリパラ開催に希望も

スポーツコンサルタント 杉原海太

コロナ禍にあっても懸命にリーグや大会を実施する競技が国内でも国際レベルでも少しずつ増えてきている。日本ならプロ野球やJリーグ、大相撲などがそうだ。海外でも先ごろ、テニスの全米オープンがさまざまな制約の下で行われ、大坂なおみが女子シングルスで優勝した。そうした活動の先に、私は、来年の東京オリンピック・パラリンピック開催という希望の灯を見ている。

最近、2つの興味深い日本サッカー界に関するニュースがあった。

一つはJリーグが8月25日に発表した、スポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」との放映権契約の2年延長。2017年から26年までの10年間で総額2100億円とされたものを、28年までの12年間とするかわり、総額は約2239億円とした。単年にならすと210億円から約187億円に減額となるが、先行き不透明な時代に契約年数を延長することは、ウィズコロナ、アフターコロナにおける国内レベルのサッカーリーグの価値をポジティブにとらえてのことだろうと推察している。

もう一つのニュースは、サッカーの日本代表が10月のインターナショナルウインドー(5~13日)を利用してオランダで9日にカメルーン、13日にコートジボワールとテストマッチを行うこと。現状、日本に外国のチームを招いて試合をすることは出入国後に行動制限などがあって難しい。それならば、ということで、日本からオランダに渡って試合をすることになった。

オランダは日本からの渡航者及び日本人に対して入国後の制限を取らない国の一つ。欧州在住の日本代表の海外組が集まりやすい場所でもある。とはいえ、今回の決定に至るまでには、オランダサッカー協会や関係各所と相当な熟議を重ねたことだろう。あえて高いハードルに挑んだ関係者の努力をたたえたいと思う。

この2つのニュースで特に後者から感じるのは、新型コロナウイルスが今更ながら我々に突きつける問題の複雑さである。リモートマッチ(無観客)から有観客に移行したJリーグにしても、アウェーのサポーター来場には「待った」をかけている。新型コロナ感染拡大を防ぐために、県をまたぐ移動には細心の注意を払っているわけだ。県をまたぐ移動ですらそうなのだから、国境をまたぐとなると、問題がよりセンシティブになるのは当然のことである。

そこに拍車をかけるのが、それぞれの国・地域、大陸によって感染状況が違うこと。そのせいで国・地域内、国・地域から大陸へと対象が広がるごとに問題はどんどん複雑化し、解けない方程式へと化していく。

アジアはその典型で、国レベルではJリーグのように国内リーグを進行させているところもある。しかし国境をまたいで試合をする22年ワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア予選(2次)はコロナ禍の影響をもろに受け、日程がどんどん繰り下げられて来年まで延期になった。クラブのアジア王者を決めるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)も今季は日程の再編が続き、出場権を持つクラブ関係者の焦燥を募らせている。

W杯カタール大会でいえば、新型コロナのダメージが大きい米国を抱える「北中米カリブ海」の大陸予選も10、11月の開催を見送った。こうなると感染者が多いブラジルを抱える南米予選も予断を許さない。

そんな中で、比較的、うまくやれているのが欧州だろう。昨季はコロナ禍で打ち切りを決めたリーグもあったけれど、ドイツのブンデスリーガが先陣を切る形で再開すると、英プレミア、スペイン、イタリアの各リーグとシーズンを完走。欧州最強クラブを決めるチャンピオンズリーグ(CL)もポルトガルのリスボンにベスト8を集め、一本勝負のノックアウト方式に改めて無事終了させた。

9月に入ると新しいシーズンをスタートし、代表チームで争う「ネーションズリーグ」も国をまたいで始まった。

いずれも試合はまだリモートマッチの段階だが、国内から始めて欧州域内を移動して試合を行えるように着実にステップアップしている。個別に抱えた議論を一つ一つクリアしながら、「納得解」を丁寧に探していく作業は見事だと思う。

こういう欧州の展開を見ていると、来年の東京でのオリパラの行く末に思いをはせてしまう。通常なら200以上の国・地域が参加し33競技が行われる五輪の場合、実際に行うとなったら、単一競技の世界大会や大陸レベルの大会とは次元が異なる究極の難しさがあるのだろう。

新型コロナの感染リスク一つとってもアウトドア、インドア、チーム、個人競技によって違ってくるだろうし、扱う選手、スタッフの数も膨大。選手村での過ごし方、入国時と入国後の検査体制の整備など、越えなければならないハードルの多さ、高さは私の想像を絶するのだろう。

そうしたことは十分承知の上で、それでも希望を抱いてしまうのは世界中で今、行われている試合、リーグ、大会は、それらを開催するために関係者がいろいろな知恵を絞って実現されているという事実があるからだ。そこでは日々、さまざまなノウハウやオプションが積み上げられ、実際のオペレーションに役立てられている。

いろんな競技団体が大会の開催にチャレンジして、それを無事に終わらせる。できることとできないことを整理していく。そういう実績を積み重ねることで国際的な世論をポジティブな方向に動かすような納得解を見いだせるかもしれない。

スタジアムやアリーナは超満員、世界中から観戦者が訪れ、東京の銀座を歩いている、というような「完全な五輪」はさすがに難しいと私も思っている。しかし、できることをしっかり定めて、その範囲内で行うオリパラなら、かなり楽観的な見方ではあるけれど、やれないことはないのかもしれないと希望を持ってしまうのだ。

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