ESGのためNGOと連携 「投資家としての力を増幅」
奔流 ESG投資(2)

ルポ迫真
2020/9/16 23:00 (2020/9/17 5:06更新)
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NGO主催の会見で話す日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長(右)(8月28日、東京都千代田区)

NGO主催の会見で話す日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長(右)(8月28日、東京都千代田区)

「我々の社会貢献策やESGの考え方を投資家に説明したい」。商船三井は11日、手配した大型貨物船がモーリシャス沖で座礁した事件を受け、環境保護基金を設けると発表した。会見では社長の池田潤一郎が、事故以来、投資家から質問が相次ぎ、面談の予定もあると話した。

商船三井は船主でないため法的な責任は負わないが、投資家の関心は直接的な損失にとどまらない。ある国内運用会社は「座礁を防ぐために、業界全体で追加のコストを背負うようになる可能性がある」と商船三井のESG評価を引き下げた。

1989年。米エクソンモービルによるアラスカ沖の重油流出事故は、投資家と環境団体が連携した組織「Ceres」の誕生につながったESG投資の転換点とされる。今回の座礁でも非政府組織(NGO)が「化石燃料からの撤退を」と商船三井に訴え、直接にも間接にも連携が一段と進む様相を見せる。

「家族が強制的に働かされている工場で造った部品で金もうけをしていると思うと悔しい」。8月28日、日本ウイグル協会副会長のアフメット・レテプは言葉を詰まらせた。中国新疆ウイグル自治区の強制労働で造られた製品を使う企業が世界で約80、日本企業も約10あると海外の調査機関に指摘されている。

日本ウイグル協会のアンケートに、各社は「1次取引先には強制労働による製造はない」(大手電機)などと回答したが、2次、3次先はどうかという疑問を持たれている。人権重視の機関投資家団体IAHRは8月、ウイグルの強制労働問題に関して「市民社会の利害関係者と協働し、投資家としての力を増幅させる」と掲げた。

コニカミノルタは19年3月、NGOから「タイの取引先が強制労働につながるリスクのある採用をしている」との指摘を受けた。調査の結果、事実と確認されたため、書面やオンライン会議で改善策を進めてきた。

「顧客にも、適正に調達していることを示す」。サステナビリティ統括部企画部長の徳地雅広の危機感は強い。ESG投資の圧力を受けるのはコニカミノルタの納入先も同じだ。人権問題などをはらむ製品は取引してもらえない。

NGOに指摘された問題を企業が放置すれば、投資は引き揚げられ、取引にも支障が出る。事実と異なる指摘だった場合に反論するためにも、供給網の管理と適切な情報開示が欠かせない。(敬称略)

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