「暮らし守る政策示して」 コロナ対応など注文相次ぐ

菅内閣発足
2020/9/16 19:26 (2020/9/16 21:53更新)
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国民の暮らしを一変させた新型コロナウイルスの影響が続くなか、約7年8カ月ぶりに政権トップが交代した。今後の感染拡大に備えた医療提供体制の確保に加え、景気悪化や少子化など課題は山積している。関係者は菅義偉新首相に対し「コロナ後を見据えた息の長い支援を」と訴える。

菅氏が国会で首相に指名されたニュースを伝える大型モニター(16日、東京都千代田区)

新型コロナ「先手先手の対応を」

菅氏が「国難」として喫緊の課題に挙げる新型コロナ。医療現場が最も懸念するのがインフルエンザとの同時流行だ。全国保健所長会の内田勝彦会長は「秋から冬にかけて発熱患者の増加が予想される」とみる。

インフルは症状だけで新型コロナと見分けるのは難しい。双方の患者が保健所に殺到し、人手不足で業務が逼迫する恐れもある。内田会長は「平時も含めて保健所のあり方を議論し、あらゆる事態に備えられるようにしてほしい」と話す。

「医療機関への適切な情報発信と手厚い支援に力を入れるべきだ」と話すのは、岐阜市で内科クリニックを開業する男性医師(40)。院内感染を防ぐため発熱症状がある患者は敷地内の車両で診療しており、マスクや消毒液が不足した時期もあった。「毎回車内を消毒し、ガウンや手袋を替えるのは経営的にも厳しい」とし、先手先手の対応を求める。

雇用と経営「中小・地方、このままでは踏ん張れず」

菅氏は自民党の総裁選で「雇用を確保し暮らしを守る」と語ったが、新型コロナの影響で現場の状況は厳しい。東京都墨田区の自動車部品メーカーは製造ラインが一時止まった。4~5月の受注額は前年比7割減で、現在も同4割減の水準だ。

経営する阿部義栄さん(62)は「持続化給付金をもらっても経営は厳しい」と嘆く。一方、若い頃に段ボール工場で働いた経験を持つ菅氏について「働く人の気持ちを知っている。中小企業にもっと目を配ってもらえるとうれしい」と力を込める。

地方の観光地も苦しい。長野県山ノ内町の渋温泉で旅館を営む石坂大輔さん(39)は「このままでは地方は踏ん張りきれない」と危惧する。4~5月は休業し、政府の観光支援事業「Go To トラベル」開始後も宿泊客は例年の約6割だ。年明け以降に海外客から予約が数十件入るなど希望もあるが、「コロナ後を見据え、息の長い観光地の支援策に取り組んでもらいたい」とした。

不妊治療の保険適用検討「ようやく前進」

少子化対策は日本が直面する大きな課題の一つ。体外受精など特定不妊治療は現在、保険がきかないが、菅氏は適用を広げる考えを示す。不妊治療を始めて4年になる東京都の30代の会社員女性は「金銭面でも精神面でも助かる」と歓迎する。

治療は薬の内服や検査が多く負担は大きい。流産も2回経験し、治療がいつまで続くか見通せない。「保険が適用されれば治療がうまくいかなくても何度も挑戦しようと思える」と話した。

不妊体験者の支援団体「Fine」(東京・江東)の松本亜樹子理事長によると、不妊治療は通常1回60万~70万円かかり、治療がうまくいかずに総額1千万円かかるケースもあるという。松本理事長は「不妊問題がようやく前進すると感じた」と期待を寄せる。

ただ、不妊治療中の休暇制度を導入している企業は一部に限られ、治療が長期化して休職扱いとなり、職場復帰できない女性もいるという。松本理事長は「保険適用だけでなく、企業に不妊治療のための休暇導入を推奨したり、法制化したりすることも検討してほしい」と要望した。

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