投稿者特定、手続き簡素に ネット中傷対策で総務省案
総務省は16日、ネット上で中傷を受けた被害者が投稿者を特定しやすくするため、新たな司法手続きに関する制度案を示した。現在は被害者がSNS(交流サイト)事業者などから投稿者の氏名などの情報を入手するには複数回にわたる手続きが要る。1つの裁判手続きにまとめる見直しを促し、迅速な情報開示で被害者の救済をめざす。
同省の有識者会議に提示した。11月にも制度案をまとめ「プロバイダー責任制限法」の開示請求権に関する規定の改正を念頭に置く。法務省とも連携し、来年の通常国会への法案提出をめざす。
制度案ではSNSなどに開示を求める訴訟を起こさなくても、裁判所が被害者からの申し立てを受けて開示の適否を判断することを想定する。投稿者の特定に必要な通信記録についても、ネット接続業者(プロバイダー)に一定期間、保全させる仕組みを盛った。
会議では手続きの迅速化についておおむね賛同が得られたが「発信者情報の開示は表現の自由やプライバシーとの関係で慎重な手続きが必要となる」などの意見が出た。
SNS事業者は投稿者の氏名や住所などの情報を持っていない場合がある。このため現行制度では被害者はSNS事業者から裁判などを通じて得た通信日時などに基づき、プロバイダーにも追加で開示請求や裁判をするなど、煩雑な手続きが必要となっている。