Apple、ヘルスケアで存在感 「Watch」で血中酸素測定

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北米
2020/9/16 16:10
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【シリコンバレー=白石武志】米アップルがヘルスケア領域で存在感を高めている。15日に発表した腕時計型端末「Apple Watch」の最新機種には、血中酸素の濃さを測ることができる機能を持たせた。米国内外の医療・研究機関と連携し、Watchで集めたデータを予防医療などの研究に役立てる構想も示した。

アップルが発表した血中酸素濃度を測れる腕時計型端末「Watchシリーズ6」

アップルが発表した血中酸素濃度を測れる腕時計型端末「Watchシリーズ6」

2015年に発売したWatchの最新機種となる「シリーズ6」には、背面の赤外線センサーなどを使って約15秒で血中酸素濃度を測定できる機能を持たせた。医療行為での利用を想定したものではないが、呼吸器や心臓の状態を日常的に把握するのに役立つという。

■医療機関や保険会社が注目

Watchはこれまで活動量計や心拍数計、心電図アプリなどヘルスケアに関する機能を段階的に備えてきた。各種の指標を組み合わせれば新たな疫学的知見が得られると期待されており、オンラインで開いた新製品発表会に参加したティム・クック最高経営責任者(CEO)は「多くの医療機関や保険会社がWatchの利点に注目している」と強調した。

例えば多くの新型コロナウイルス患者を受け入れた米ニューヨークの医療機関マウントサイナイ・ヘルスシステムでは、最前線で働く医療従事者らが身につけたWatchの生体データを使ってストレスなどの心理的影響を調べているという。

アップルはWatchの血中酸素のデータを使い、心不全やぜんそくなどの症状を和らげる研究を米国内外の研究機関と始める計画も示した。血中酸素や心拍の変化が、新型コロナなどの呼吸器疾患の前兆である可能性などを研究するという。

■運動や予防接種促すプログラム

Watchが集めるビッグデータの応用範囲は研究にとどまらない。シンガポール政府とは住民らの健康状態を改善する「ルミヘルス」と呼ぶ取り組みを10月に始める。専用のアプリを使って利用者に運動や予防接種などを促す2年間のプログラムだ。参加した住民は最大で380シンガポールドル(約3万円)の報酬を得ることができる。

主力のスマートフォン「iPhone」の年間販売台数が15年9月期の約2億3000万台をピークに頭打ちとなっているアップルにとって、Watchをはじめとするウエアラブル端末への期待は大きい。Watchを含む周辺機器部門の20年4~6月期の売上高は64億5000万ドル(約6800億円)で、前年同期に比べ17%伸びた。

18日に発売するシリーズ6の米国での価格は399ドルから(日本での価格は税別4万2800円から)と、従来機種の5シリーズから据え置いた。機能を絞って価格を279ドルから(同2万9800円から)に抑えた廉価版「SE」も品ぞろえに加え、より幅広い利用者を取り込む考えだ。

■「最大の貢献はヘルスケア」

米ネット大手では米グーグルもウエアラブル端末などで集めたデータを機械学習などで分析する基盤サービスの普及に力を入れている。親会社の米アルファベットは19年に腕時計型端末を手掛ける米フィットビットを約21億ドルで買収すると発表するなど、ヘルスケア分野への投資を拡大している。

アップルのクックCEOはかねて「人類に対するアップルの最大の貢献はヘルスケア分野になるだろう」と発言してきた。アップルは腕時計型端末の市場では台数ベースで5割超の世界シェアを握るが、腕時計市場の金額全体でみればシェアはまだ1~2割程度とみられる。健康ビッグデータの入り口ともなるWatchの潜在力は大きく、開発競争がさらに熱を帯びることになりそうだ。

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