サウジ、「パレスチナ問題の解決」優先 イスラエル巡り
【カイロ=久門武史】サウジアラビア政府は15日、パレスチナ問題の公正な解決を支持すると改めて表明した。アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンが同日、イスラエルと国交正常化合意に署名したことには言及していないが、パレスチナ問題を棚上げして追随する考えはないとの立場を重ねて示したとみられる。

サウジ国営通信が同日「東エルサレムを首都とする1967年の境界で、パレスチナの人々が独立したパレスチナ国家を創設できる公平で包括的な解決」に向けた努力を支持するとの政府の声明を伝えた。サウジはアラブ世界の事実上のリーダーで、米国が促すイスラエルとの国交正常化に同調するか注目されている。
ワシントンでUAEなどとイスラエルの国交正常化の署名式が開かれていた15日夜、パレスチナ自治区ガザからイスラエルに向けてロケット弾2発が発射された。2人が負傷した。声明は出ていないが、国交正常化への抗議とみられる。
同日、ガザやヨルダン川西岸ラマラなどでは国交正常化に反対する抗議集会が開かれた。パレスチナ自治政府幹部は署名式を「暗黒の日」と呼び非難していた。
UAEのアブドラ外務・国際協力相は15日の署名式で「合意は我々がパレスチナの人々を支援し続けることを可能にし、独立国家をつくる彼らの希望をかなえる」と述べた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿では「パレスチナ指導部はこの機を利用し、生産的な話し合いに戻る用意をすべきだ」と強調した。
イラン外務省は同日、イスラエルとの国交正常化を「戦略的過ち」と批判した。8月にUAEがイスラエルとの国交正常化合意を発表した際は、エジプトやオマーンが歓迎する声明明を出している。