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米中貿易戦争、WTO二審は困難 米が改革要求

トランプ氏は15日、WTOについて「何らかの手段を講じなければいけない」と改めて不満を表した(米ホワイトハウス)=AP

【ワシントン=鳳山太成、ジュネーブ=細川倫太郎】トランプ米政権は15日、米中貿易戦争で中国側の主張を認めた世界貿易機関(WTO)に反発し、WTOの改革を要求した。「第二審」が最終判断を示すのも難しい状況で、世界の通商ルールをつかさどる「貿易の番人」の苦境は鮮明だ。

「WTOは中国の(知的財産の侵害など)有害な技術慣行を止めるのに全くの不適任だ」。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は15日の声明で、WTOをこき下ろした。「改革が必要であることを示した」と強調し、WTOの判断を受け入れない姿勢を明確にした。

WTOで紛争処理小委員会(パネル)は15日、米国が一方的に課した対中制裁関税がルール違反だと判断した。米国は中国の技術窃取を止めるなど「米国の公徳を保護する」ことを理由にWTOルール下で正当化されると主張してきたが、WTOは米国が説明を尽くしていないと判断した。貿易の差別を禁じる「最恵国待遇」の原則に反しているほか、関税率が合意した規定を上回っていることも問題視した。

米国にとってWTOの判断は痛手だが「歴史的な『第1段階の合意』には影響を及ぼさない」(ライトハイザー氏)と強気の構えだ。トランプ政権はWTOを介さず、中国との2国間交渉を通じて一定の解決策をまとめた。中国政府はWTOの判断を歓迎する声明を出したが、中国も第1段階合意に基づいて米国と対峙する姿勢を変えていない。

WTOは二審制だが最終判断は宙に浮く公算が大きい。米国は上訴する可能性が高いが、上級委員会(定員7人)の委員は1人しかいない。3人で一案件を担当するルールだが、米国自身が新たな委員の選定を阻止しており、上級委は機能不全に陥っている。

今回のWTOの判断で米国は一段と強硬姿勢に傾きそうだ。トランプ大統領は15日、記者団に「WTOは中国の好き勝手を許してきた」と述べ、WTOルールに不満を表した。事実上の自己申告で発展途上国と名乗り、貿易面で優遇されるルールなどを問題視する。米国は20カ国・地域(G20)参加国などを先進国と見なす独自の改革案を相次いで出しているが、全会一致が原則のWTOで採用されるメドは立たない。

佳境を迎えているWTOの事務局長選挙にも影響する可能性がある。8人が立候補している選挙は混戦必至で、加盟国の思惑が複雑に絡み合う。米国は自身の意をくんでWTO改革を進める人物でなければ、断固反対する態度を強めそうだ。合意形成を重視するWTOの選挙は原則投票はせずに、加盟国の全会一致で選出する。WTOは11月までに新トップを決めたい方針だが「年内は厳しいのでは」(ジュネーブの外交筋)との声も聞かれる。

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