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未払い報酬、側近が全面否認 ゴーン元会長事件初公判

(更新)
初公判のため東京地裁に入る日産自動車元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(左)(15日、東京都千代田区)=代表撮影

高額報酬を隠したとされる日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(66)の事件で、共犯として起訴された同社元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(64)と法人としての日産の初公判が15日、東京地裁であった。ケリー元役員が隠蔽に加担したと主張する検察側に対し、元役員側は全面的に否認した。

ゴーン元会長を巡る一連の事件で公判が開かれるのは初。カリスマ経営者がかかわり世界的関心を呼んだ経済事件の裁判を通じ、日産のガバナンスの実態が明らかになるかも注目される。

今回問題になったのは、2011年~18年3月期の元会長の役員報酬計約91億円分を有価証券報告書に記載しなかったとする金融商品取引法違反。検察側は高額報酬への批判を避ける目的だったとみている。

検察側は15日の冒頭陳述で、報酬の開示を免れる方法を考えるよう、元会長が10年ごろから周囲に指示したと指摘。志賀俊之最高執行責任者(COO、当時)や小枝至相談役(当時)にも意見を求めたという。

元会長は11年3月、ケリー元役員や志賀氏らが示した「退任後に相談役などの報酬名目で受領」との案を選んだ。翌4月には「総報酬」「既払い報酬」「未払い報酬」を1円単位まで記し、退任後に未払い分を支払うとした書面の作成を元秘書室長に指示し、自ら署名した。ケリー元役員も書面を確認したという。

検察側はケリー元役員が社内で「私の仕事はゴーンさんに支払いを受けさせることだ」と話していたとも指摘し、共犯として重要な役割を果たしたと主張する。

これに対しケリー元役員は初公判の冒頭、「ゴーン元会長は傑出した経営者だった。日産にはその後継者が、特に日本にはいなかった。元会長の報酬は競業他社より低く、元会長をつなぎとめるための合法的対応だった」と、文書を読み上げて無罪を主張した。

弁護側も「ケリー元役員は外部の法律事務所などに相談して合法的な支払いを模索していた」などと説明し、検察側の主張に詳細に反論した。

一方、日産は起訴内容を認め「ただひたすらにゴーン元会長の私的利益を確保すべく行われた典型的な経営者不正の事案。ケリー元役員らに権限が集中し不正の探知が不可能で、極めて深刻なガバナンス不全の状態だった」と強調した。

来年7月まで70回以上開かれる公判の最大の争点は、退任後に元会長が受け取るはずだった「未払い報酬」が、有報に記載義務がある役員報酬として確定していたかどうかだ。確定していれば過少記載に当たる。役員報酬ではなく別の相談役報酬などと判断されれば罪は成立しない。

証人尋問では西川広人前日産社長のほか、検察側と司法取引で合意した同社幹部らを含めた関係者が証言する予定。日産のガバナンスの実態がどれだけ詳細に明かされるかも注目される。求刑や判決の期日は決まっていない。

昨年12月31日に「政治的迫害から解き放たれた」と日本脱出を世界にアピールしたゴーン元会長は、今もレバノンに滞在中とみられる。逃亡直後は会見などで度々主張を述べたものの、最近は発信が目立たない。

東京地検特捜部が出入国管理法違反容疑で逮捕状を取った上、国際刑事警察機構(ICPO)も加盟国に身体拘束を求める「国際逮捕手配書」を発行。レバノンにとどまらざるを得ないのが実情のようだ。

元会長は海外を経由した資金流出などで日産に損害を与えたとされる会社法違反(特別背任)罪でも起訴されたが、この公判は逃亡で停止している。自らの意思で日本に戻る可能性はほぼなく、法廷で真相が語られる見通しは立っていない。

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