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横浜M、本気でeスポーツ ゲームリーグ戦で結果も

2020/9/17 3:00
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横浜Mのeスポーツチームには4人の「シャドウバース」のプロゲーマーが所属する=(C)RAGE、(C)Cygames

横浜Mのeスポーツチームには4人の「シャドウバース」のプロゲーマーが所属する=(C)RAGE、(C)Cygames

サッカーJ1の横浜Mがeスポーツに力を入れている。2年前にスマホゲーム「シャドウバース」のプロリーグに参戦し、4人のプロゲーマーが所属する。NTTe-Sports(東京・新宿)と連携し、今後は教育事業にも関わっていく。昨年、15年ぶりにJ1王者に輝いたJリーグの名門が畑違いの分野でも奮闘している。

シャドウバースはサイゲームス(東京・渋谷)が開発・運営するスマホゲーム。40枚のデッキ(カードのセット)からカードを引き合い、キャラクターを「召喚」して呼び出し、相手に攻撃を加えて先に体力をゼロにした方が勝ちとなる。様々な効果を持つカードを組み合わせ、多彩な戦術を駆使して戦うカードゲームだ。

■横浜市民の関心度の低さに危機感

サッカーとは関係のないeスポーツになぜ取り組むのか。プロチーム発足当時からeスポーツを担当する武田裕迪氏は語る。「2018年の横浜市民の関心度調査で横浜F・マリノスの認知度は9割を超えた一方、関心度は3割を切っていた。興味を持ってもらうためには、一風変わった手を打たないといけないという危機感があった」

頭を悩ませていたのと同じ時期、「シャドウバース」のプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League(RSPL)」の話が舞い込んできた。「(参入しているチームは)業界がバラバラで、そういうごちゃまぜの中に入るのは、今までの広告戦略では全く目に留めてくれなかった人々にアプローチできるという点でいい変化球かなと。ブルーオーシャンだし、参戦してみよう」。18年10月、KDDIや吉本興業などが戦いを繰り広げるリーグに新規参入した。

他のJクラブでもeスポーツに取り組むところはあるが、基本的にはサッカーゲームだ。もちろん、横浜Mもサッカーゲームに着手はしているが、メインはシャドウバース。その理由を武田氏は「(サッカーゲームではプロ選手の)出番を作るためにクラブ側が一生懸命汗をかかなくてはいけない。それに比べると、シャドウバースは放っておいても公式戦があるので参入しやすかった」と話す。

■ゲーマーの契約、サッカー選手を参考に

国内のサッカーゲームの大会はまだ少ないというが、RSPLだと20~21年シーズンのリーグ戦は試合数が21ある。その上、ファンは高校生や大学生の若年層が多い。試合は動画配信サイトで中継され、毎節40万~70万人が視聴していることも魅力の一つだった。

当然、eスポーツへの挑戦はゼロからのスタート。「前例もなければ手本もない。総じて苦労した」と武田氏は笑う。だが、横浜Mにはサッカー界で25年以上プロチームを運営してきた経験がある。それがeスポーツ界でも生きた。

例えばプロゲーマーとの契約はサッカー選手の契約書を参考にし、スポンサーとの契約では選手を安売りせず、肖像権など権利の枠を明確に設定した。その中でも「すでにサポーターがたくさんいることが一番の財産。(サッカーの)F・マリノスのファン、サポーターが反応してくれて、下支えしてくれるのはありがたい。ファン0人から作っていくのは相当しんどいだろう」(武田氏)。ファン、サポーターの応援は、お金の問題だけでなく、選手や運営サイドのやりがいや手応えに直結する。

シャドウバースのプロリーグで2度準優勝している(写真は水煮選手)=(C)RAGE、(C)Cygames

シャドウバースのプロリーグで2度準優勝している(写真は水煮選手)=(C)RAGE、(C)Cygames

eスポーツでもすでに結果は出ている。「RSPL18-19 2nd」と「RSPL19-20 2nd」で準優勝。昨年はサッカーでJ1優勝を果たしていることもあって、シャドウバースの試合動画のコメント欄では「ダブル優勝を目指して頑張れ」など、サッカーに結びつく話題が飛び交ったという。

武田氏は「相互のファンの交流についてはもっと長い目で待ちたい」と前置きしつつ、「いまゲームをやっている人たちの中にも、小さい頃サッカーに触れていた人はいる。シャドウバースを通じて、そういう人たちをサッカーに呼び戻すなどして、サッカー側に役立てられるのでは」と期待を込める。

■eスポーツ収支、2年目からプラス

活動を始めて2年。森永製菓などスポンサーは5社に上り、eスポーツ単体でも収支は「2年目からプラス」(武田氏)になっている。今後は8月に連携協定を締結したNTTe-Sportsとともに、シャドウバースのオンライン授業の配信を予定しており、eスポーツ教育にも力を貸していく。また、同社が東京・秋葉原に開業したeスポーツ施設「エグゼフィールド アキバ」ではすでに動画配信イベントを行い、ファンとの交流を深めている。

盛り上がりをみせるeスポーツ界だが、武田氏は「まだまだeスポーツに対する偏見はある」と語る。「横浜F・マリノスが本気で取り組むことで、ただのゲームの人たちじゃないんだ、と見方を変えていきたい」。サッカーとは別の「横浜F・マリノス」からも目が離せなくなりつつある。

(田原悠太郎)

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