白鸚が9カ月ぶり舞台復帰 10月の歌舞伎座

文化往来
2020/9/28 2:00
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2020年10月の歌舞伎座公演に出演する松本白鸚(C)松竹

2020年10月の歌舞伎座公演に出演する松本白鸚(C)松竹

「3つで初舞台を踏んで以来、こんなことは初めて。自分にはもう歌舞伎ができないのではないかと思ったこともありました」。新型コロナウイルスの感染拡大による活動自粛の日々を、松本白鸚はこう振り返る。1月の歌舞伎座公演に出演後、観客を前にした芝居から遠ざかったが、重い衣装やかつらを着けて声を張る歌舞伎俳優は、日常的に舞台に立たないと、体力や気力がついていかなくなる。

そんな不安な日々が終わり、10月の東京・歌舞伎座公演(2~27日)に出演することになった。人形浄瑠璃をもとに作られた丸本歌舞伎「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」の「角力(すもう)場」で、濡髪(ぬれがみ)をつとめる。得意な役だが、2018年に白鸚を襲名してからは初めてとなる。人気力士の濡髪と、放駒(はなれごま)との勝負を軸にした場で、江戸時代の相撲界や、当時の旦那衆の姿などが、華やかに喜劇的に描かれる。現代から見れば奇抜な衣装や演出も楽しく「歌舞伎の知恵やセンスが詰まった作品」(白鸚)ともいえる。相手役となり放駒と、若旦那の与五郎の2役は、中村勘九郎。

歌舞伎が全国的に休演した間、長男の幸四郎が、配信を駆使した「図夢(ズーム)歌舞伎」で注目された。父の初世白鸚の過去の舞台映像と現代の俳優の共演など、配信作品ならではの試みに感心したというが、自らも歌舞伎だけにとどまらず、ミュージカルで米ブロードウェーや英ウエストエンドの舞台に立つなど慣例にとらわれない挑戦を続けてきた。「自分なら、もっと翔(と)んだ(新奇な)ことができるのではないかと、今、考えているところです」。まだまだ息子に負けるつもりはない。

(瀬崎久見子)

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