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中古戸建ての相場を調べる簡便法 新築価格と路線価で

20代からのマイホーム考(8)

(更新)
写真はイメージ=PIXTA

テレワークが推奨されるようになってきたことで、駅から少し離れた場所の中古の戸建て住宅も視野に、住まい探しをする人が増えつつあるといわれています。中古戸建ての購入については、いくつかのチェックポイントがありますが、販売価格は売り主の事情や売却にいたる背景などによって、適正相場からやや逸脱した価格設定がなされているケースが散見されます。今回は、適正な相場がどの程度なのかということを自分で確認できる方法を紹介したいと思います。

新築戸建ての価格はおおむね相場に近い

不動産会社は売買取引事例データを持っていますが、そのデータは公開されることはないので、一般の人には実際の取引事例を入手して相場をチェックすることは極めて難しいという状況にあります。しかし、調べたい物件の近隣で販売されている「新築戸建ての販売価格」を参考にすれば、相場を推定することができるのです。

新築戸建ては大幅な値引きをすることがあまりないため、おおむね相場に近いといった特徴があります。東京23区内で、昨年1月から直近までに販売された新築戸建て1230件について調べてみると、割引なしで販売されたものは約6割、全体での平均割引率は1.17%となっていました。ですから、新築戸建ての販売価格そのもの(あるいは販売価格から1%程度を割り引いた価格)がおおむね相場だと考えてもよいということなのです。

新築戸建ての販売価格から相場をチェックする方法

まずは、購入検討中の中古戸建ての近隣で販売されている「新築戸建ての販売価格」から「新築戸建ての土地価格」を算出します。

新築戸建ての土地価格は「新築戸建ての販売価格」から「新築建物価格」を引き算して求めます。新築建物価格は、以下の算式で概算値を算出します(今回は建物構造を木造としています)。

新築建物価格
 = 推定新築単価20(万円/m
2
)× 新築建物延べ床面積(m
2

上記で求めた新築建物価格を販売価格から引き算すれば、土地価格が算出できます。

新築戸建ての土地価格 = 新築戸建ての販売価格 - 新築建物価格

次に、「新築戸建ての土地価格」をその土地面積で割り算し、「新築戸建ての土地単価」を計算します。その単価を「購入検討中の中古戸建ての土地単価」に変換する作業を行います。

変換には国税庁が公表している路線価を利用します。路線価とは相続税法上の土地評価基準で、道路上にその評価額が記載されたものです。インターネットで「路線価図」と検索すれば調べることができます(ただし、地域によっては路線価がない場所もあります。)。以下に示したものが路線価図で、道路に沿って数値が記載されています。この数値の単位は「千円/平方メートル」ですので、250とあれば1平方メートルあたり25万円ということになります。

この路線価を使って、「購入検討中の中古戸建ての土地単価」の概算値を以下の算式を使って求めます。

購入検討中の中古戸建て土地単価
 = 新築戸建ての土地単価 × 購入検討中の中古戸建ての土地路線価 ÷ 新築戸建ての路線価

以下の例で、具体的に中古戸建ての相場を求めてみましょう。

(例)購入検討中の中古戸建て  土地面積:100m

2
  土地路線価:25万円/m
2

近隣の新築戸建て  販売価格:5,000万円  土地面積:100m

2
  建物延べ床面積:100m
2
(木造)  土地路線価:24万円/m
2

新築戸建ての土地価格および土地単価の算出>新築戸建ての土地価格 = 5,000万円 -(20万円/m

2
×100m
2
)= 3,000万円新築戸建ての土地単価 = 3,000万円 ÷ 100m
2
= 30万円/m
2

新築戸建ての土地単価を、購入検討中の中古戸建て土地単価に変換>購入検討中の中古戸建ての土地単価 = 30万円/m

2
× 25万円/m
2
÷ 24万円/m
2
≒ 31万3,000円/m
2

購入検討中の中古戸建ての土地価格の算出>購入検討中の中古戸建ての土地価格 = 31万3,000円/m

2
× 土地面積100m
2
= 3,130万円

建物価格の算定

建物価格は注文住宅と建売住宅とで価格が異なりますし、中古戸建ての場合は維持管理の状態によっても大きく異なりますので、価格査定は極めて難しいといわれています。そこで中古戸建ての建物価格の概算方法として、よく利用されるのが木造住宅の法定耐用年数を利用する方法です。木造住宅の法定耐用年数は22年とされていますので、例えば11年経過した既存住宅ならば新築価格の半分程度とみなすというものです。

購入検討中の中古戸建ての延べ床面積が100平方メートルで、築16年だったとすると、以下のように算出します。

購入検討中の中古戸建ての建物価格
 = 推定新築単価20(万円/m
2
)× 100(m
2
)×(22年-16年)/22年 ≒ 545万5,000(円)

以上から、先に算出した中古戸建ての土地価格3,130万円、建物価格546万円の合計3,676万円が、購入検討中の中古戸建ての相場の概算値ということになります。

個別物件ごとの価格調整が難しい面も

ここまで中古戸建ての簡単な相場チェック方法をご紹介してきましたが、いくつかの問題があります。

一つは土地の形状(土地の形や高低差など)によって評価額が大きく相違するということです。また、建物価格も維持管理状態などによって大きく異なってきます。今回は推定新築単価を20万円/平方メートルとしていますが、建物のグレードによってこの単価も上下します。

今回のチェック方法で相場の大枠はとらえることができると思いますが、それぞれ物件が持つ個別性については評価が難しいです。とはいえ、紹介した方法で相場をつかむことは可能かと思いますので、参考にしていただければと思います。

田中歩(たなか・あゆみ)
 1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画

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住宅資金は老後資金、教育資金と並ぶ人生三大資金です。20代、30代から考えたい「失敗しないマイホーム選び」について不動産コンサルタントの田中歩氏が解説します。隔週月曜日に掲載します。

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