韓国検察、慰安婦団体前代表を起訴 補助金を不正受給

日韓対立
2020/9/14 18:15
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韓国与党「共に民主党」の国会議員で、慰安婦支援団体前代表の尹美香氏(5月、ソウル)

韓国与党「共に民主党」の国会議員で、慰安婦支援団体前代表の尹美香氏(5月、ソウル)

【ソウル=恩地洋介】元従軍慰安婦を支援する市民団体の不正会計疑惑で、韓国検察は14日、革新系与党「共に民主党」国会議員の尹美香(ユン・ミヒャン)前代表(55)を詐欺や業務上横領の罪で在宅起訴した。尹氏側は同日、起訴事実を全面的に否定する声明を発表した。

尹氏は「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)の代表を務めた。ソウルの日本大使館前に慰安婦を象徴する像を設置し、慰安婦問題の最終的解決をうたった2015年の日韓合意の破棄を求める活動などを展開した。今年4月の総選挙で与党の比例代表から立候補した。

検察の発表によると、尹氏は13年から20年にかけて、韓国政府やソウル市に虚偽の申請をして計3億6千万ウォン(約3200万円)の補助金を不正に受給した。さらに個人口座を使い「戦時性暴力被害者支援」の名目で1億7千万ウォンの寄付金を集めるなどした。

団体の資金を流用した業務上横領の罪にも問われた。元慰安婦の海外旅行経費や弔慰金の名目で集めた寄付金を個人の用途に使うなどの手口で、合わせて1億ウォンを横領した。

正義連を巡る疑惑は元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(91)の告発が契機となった。5月に団体の不透明な会計処理の実情を暴露し、尹氏を「慰安婦を利用したことは到底許されず、罰を受けなければならない」と批判した。

尹氏側は14日、在宅起訴を受けて「活動家が正当な労働の代価として受け取った人件費を、不正や詐欺だと歪曲(わいきょく)すべきではない」と反論するコメントを発表した。寄付金を個人的に流用した事実はないなどと主張した。

慰安婦関連団体の不正は、元慰安婦が生活する支援施設「ナヌムの家」でも明るみになった。内部告発を受けた京畿道の調査によると、施設を運営する社会福祉法人は、5年間で集めた寄付金88億ウォンの大半を土地購入などの目的で蓄財。介護人は意思疎通の不自由な女性に言葉の暴力を加えていた。

一連の疑惑の背景には、日本の植民地支配下で起こった歴史問題の「被害者」やそれを支える市民団体が韓国社会で聖域視されてきたことがある。活動への一切の批判が許されない一方で、政治への影響力を強めた。

正義連は革新系政党の有力な支持組織であり、韓国政府やソウル市から多額の補助金を受け取ってきた。存命の元慰安婦が少なくなるなか「団体の存続そのものが目的となっている」との見方は少なくない。正義連を相手取った寄付金の返還訴訟が起こされるなど、韓国内でも団体の活動への批判的な声は増えている。

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