/

都会で働き余暇は地方で デュアルライフ、準備入念に

都会で働きながら余暇は地方で楽しむ「デュアルライフ」への関心が高まっている。定年後を見据え、週末を自然の中で過ごすプレシニアも増えた。新型コロナの影響によるリモートワークの浸透で機運は一段と高まる。2拠点生活を始める上でのポイントは何か。専門家の話などから探った。

「地方での時間を楽しみつつ仕事も続けられ、充実した毎日を過ごせている」。横浜市の会社員、渡部比呂志さん(53)は週5日、市内の賃貸住宅から職場に通い、土日には長野県御代田町の一軒家に移る生活を送る。

妻の陽子さん(51)と定年後の移住先を相談していたところ、趣味のマラソンを機に訪れた御代田町の過ごしやすい気候を気に入ってしまった。新幹線で都心まで1時間程度の距離も決め手になり、約3年前、木造平屋建て住宅を購入した。

御代田町ではバードウオッチングなど都会では味わえない趣味を夫婦で満喫する。「今後はリモートワークをもっと利用し、長野で過ごす時間を増やしたい」という。

定年後は横浜市の賃貸を引き払って定住する計画だ。「ここでの暮らしは、まき割りやストーブの手入れなど体力仕事も多い。移住前から徐々に体を慣らしていきたい」と笑顔で話した。

かつては別荘を持つ富裕層らが楽しむ印象が強かったデュアルライフ。近年は少ない元手で購入できる空き家の増加や、働き方の変化が追い風となる形で幅広い世代に広がりを見せている。

不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」副編集長の笠松美香さんは「地方で趣味を通じた仲間をつくり退職後の居場所にしたい、と考え、引退前から2拠点生活を検討するプレシニアが増えてきた」と話す。

移住も視野に入れたデュアルライフを始める上での注意点として、笠松さんは、家や地域選び▽家の維持・管理▽地域とのつながり――を挙げる。いずれも共通して大切なのは「ステップを省かず、じっくり選択すること」(笠松さん)だ。

まずは家や地域選び。実際に家を購入する前に魅力を感じた地域を訪れ、年間を通した気候や土地柄などの特性を知っておきたい。笠松さんは「年齢を重ねても過ごしやすい場所を選ぶのが良い」とアドバイスする。

当面の勤務先や家族の生活場所が都会にある場合は、車やバス、鉄道などを利用して往来できるかどうかも重要になる。関東圏では近年、気候が温暖な千葉県南房総市や館山市などの人気が高まっている。

デュアルライフで見落としがちなのが住まいの維持と管理だ。シーズン以外は専門会社に任せておけば良い別荘地とは異なり、自前での手入れが基本になる。

「特に重労働だと悲鳴が上がるのは草むしり」(笠松さん)だが、草が成長する夏場を中心に、こまめな作業は覚悟しておこう。冬場に冷え込む場所なら水道管の凍結などにも注意したい。

地域とのつながりも見過ごせない。笠松さんは「コミュニティーの一員になってからでもデュアルライフを始めるのは遅くない」と強調する。

不慣れな場所に溶け込むには、自治体やNPOなどが主催する移住イベントへの参加やゲストハウス通いなどを通じ、地域の中心人物と知り合うことも近道になる。

地方に拠点を構えれば、地元の会合などに出席する必要も生じる。人々が集まる機会を避けず、人間関係づくりを楽しもうとする姿勢は、デュアルライフのさらなる充実を後押ししてくれるだろう。(西城彰子)

交通費なども見積もろう


 生活拠点を増やすデュアルライフは新たな出費を生むだけに、コスト面を見逃すわけにはいかない。移住などに詳しいファイナンシャルプランナーの町田萌氏は「初期投資だけでなく維持費も必要になる。適切な見積もりを出しておく姿勢が大切」と指摘する。
 地方の拠点を持ち家にした場合、代表的な出費として、家の購入費と2拠点を行き来するための交通費が不可欠。地方では車が主な移動手段になるため、所有していない人は購入の検討も必要になる。地域によって異なる水道光熱費も念頭に置いておきたい。
 税金の納付にも注意が必要だ。例えば住民税は居住地で課されるため、2つの生活拠点のうち滞在頻度の多い自治体で住民登録しておく。
 町田氏によると、登録した住所が生活の場と認められない場合、もう一方の居住地で延滞金などを課される可能性もあるという。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン