/

OPEC創設60年、カルテルの落日 シェール・再エネ逆風

OPECは新型コロナによる需要急減に苦慮(ウィーンの本部)=ロイター

【カイロ=久門武史】石油輸出国機構(OPEC)が14日、創設から60年を迎えた。米国のシェールオイル増産などで非加盟国が台頭し、再生可能エネルギーが普及するなか、産油国カルテルの力は陰りをみせる。今年は新型コロナウイルスによる需要急減も逆風となり、石油市場の主導権を取り戻せずにいる。

「石油市場の秩序と安定を目的とし、役割を拡大してきた」。OPECのバルキンド事務局長は声明で1960年以来の歩みをたたえた。盟主サウジアラビアを軸に供給量を調整し、価格決定に腕を振るってきたのは確かだ。ただ近年の地盤沈下は否めない。

非加盟国が存在感を増したからだ。特に米国はシェールと呼ぶ頁岩(けつがん)層から原油を取り出す技術で2000年代から急に増産し、18年にロシアとサウジを上回る最大の産油国になった。19年には純輸出国に転じた。供給過剰は価格低迷を招く。OPECが相場の下支えへ減産しても、米シェール企業が自由に増産し上値を抑える構図が定着した。

カナダやブラジルも増産し、中東産油国が主体のOPECの生産シェアは今や4割を下回る。17年からの協調減産で非加盟のロシアに協力を仰がざるを得なかったことは、カルテルの限界を浮き彫りにした。米アトランティック・カウンシルのエレン・ワルド上級研究員は取材に「部外者のロシアに事実上の拒否権を与えたことで、OPECは図らずも自らの力を落とした」と指摘した。

さらに石油の地位そのものが、再生エネの普及で揺らぐ。太陽光や風力の発電コストは下がる一方だ。地球温暖化対策の意識が高まり、化石燃料への逆風は強まる。OPECは17年、世界の石油需要が30年代に天井を打つシナリオを披露した。ピークはより早いとする予測もある。

加えて今年は新型コロナによる需要急減に苦しむ。各国で相次いだ都市封鎖や行動制限が響く。国際エネルギー機関(IEA)は20年の需要を前年比1割減と見込む。

国際指標の北海ブレント原油先物は1バレル40ドル前後と、年初より4割安い。加盟国の大半が財政赤字になる水準だが、供給国カルテルが需要不足に打つ手は限られる。「近い将来OPECが石油価格を大きく左右するとは考えにくい。市場が注目するのは中国や米国の需要だ」(ワルド氏)との見方が支配的だ。

もっとも長い目で見れば、思わぬ時に紛争や供給途絶で価格が高騰し、消費国を混乱させてきたのが石油の歴史だ。UBSのアナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は「老朽油田の生産が鈍り新規供給が細る以上、過剰在庫が解消すれば市場はOPECの生産余力に頼ることになる」と指摘する。

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン