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ベネチアで受賞の黒沢監督「ジャンル映画の道、確信」

受賞翌日の13日、東京で記者会見した黒沢清監督

「社会性をもちながらも、娯楽映画、ジャンル映画として仕上げた。そのことが評価されたのだとしたら、今まで信じてきた道は間違っていなかった。ジャンル映画の巨匠と呼ばれる人は映画の歴史の中に、山のようにいる。そういう人たちに一歩でも近づければいいなと思う」

「スパイの妻」でベネチア国際映画祭の監督賞に輝いた黒沢清監督は受賞翌日の13日、東京での記者会見でそう語った。ホラー、SF、メロドラマなど様々なジャンル映画の形式を借りて、個人と社会の相克を描いてきた人だ。受賞作も太平洋戦争前夜の日本を描いた歴史物でありながら、サスペンスとして楽しめる。ジャンル映画がカンヌ、ベネチア、ベルリンの三大映画祭で評価されるのはまれで、受賞と縁がなかっただけに、その達成感が伝わった。

濱口竜介、野原位(ただし)という東京芸大の教え子たちと脚本を共作したことも大きかった。「若者2人があの時代をベースに、原作も実在のモデルもなく、全くオリジナルのストーリーを作り上げた。僕が脚本に関与したのは2割もない」

「芸大で教え始めて、若い人の才能を強く感じた。彼らと一緒に何かできる、僕の作品の良い糧になると考え、これまでも力を借りてきた。ただ今回は向こうから僕を呼び寄せてくれた。濱口と野原が物語をつくり、脚本を書くだけでなく、プロデューサー的に僕を引き入れた。僕は彼らの駒の一つ。今度はこっちからも使ってやらなきゃと思う。対等な、いい関係だと思う」

男性が主人公のホラーで知られるが、近年は女性の主人公が多い。「自然にそうなった。困難な社会で、先が見えず、個人の上に社会がのしかかっている。社会にのみこまれず、自分を保ち続けることができるキャラクターはどうしても女性になってしまう。日本映画の女優の層がとても厚いという実感もある」と語った。

(古賀重樹)

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