シャープが格安5Gスマホ、新iPhoneは敵か味方か

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2020/9/16 2:00
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シャープが発表した5G対応のスマートフォンの新機種

シャープが発表した5G対応のスマートフォンの新機種

日経ビジネス電子版

「5Gのノーマル化を宣言する。あとから振り返って、本日を境に5Gが普通になったと言ってほしい」。シャープが9月11日に開催したスマートフォンの新商品発表会。登壇したパーソナル通信事業部の小林繁事業部長は次世代通信規格「5G」対応スマホの普及に向けてこう意気込んだ。

11日に発表した5Gスマホは「AQUOS zero5G basic」と「AQUOS sense5G」の2機種。「身震いするようなフラグシップモデルではない」と小林事業部長が話す通り、5Gのスタンダードモデルとして位置付ける。

注目は、普及価格帯となるスマホシリーズの名を冠した「sense5G」だ。2020年冬以降の発売を予定しており、現時点ではキャリア(通信事業者)などの販路や価格は明らかにしていない。価格について関係者は「これまでのsenseシリーズと大きく変わらない」としており、3万~4万円台で販売されるもようだ。

「格安5Gスマホ」と言える意欲作だが、シャープ自身は「日常生活で役に立つ、普通の5G」(パーソナル通信事業部の清水寛幸課長)と説明する。省エネ性に優れた「IGZO」液晶や4570mAh(ミリアンペア時)の大容量電池を搭載して、「5Gでも安心の電池持ちを実現した」(清水課長)。電池での稼働時間は普段使いなら1週間、動画再生は12時間、ビデオ電話は5時間という。背面には標準・広角・望遠の「トリプルカメラ」を搭載するほか、基本ソフト(OS)はアンドロイドの最新版「11」に対応する。

■中国勢に真っ向勝負を挑む

国内では中興通訊(ZTE)や小米(シャオミ)といった中国メーカーが格安5Gスマホを投入済み。今回のシャープの新機種も、価格と性能面で見れば十分対抗できるレベルと言えるだろう。シャープがここまで攻め込む背景には、国内のスマホ市場を取り巻く環境変化がありそうだ。

シャープは「AQUOS sense5G」を、「生活の役に立つ普通の5Gスマホ」と位置付ける

シャープは「AQUOS sense5G」を、「生活の役に立つ普通の5Gスマホ」と位置付ける

通信料と端末代金が分離されたことで、「従来のような大きな値引きを前提とする販売方式が終わり、なんとなくハイエンドスマホを選ぶユーザーがほとんどいなくなっている」(シャープの小林事業部長)。シャープでは昨年発売した普及価格帯のスマホ「AQUOS sense3」の出荷台数は約300万台を見込んでおり、主力モデルと言える存在になっている。シャープはsense5Gより高価格帯のzero5G basicでは、ゲームユーザーに狙いを定めて機能を強化した。あらゆる性能を高めた高価なハイエンドスマホでは市場の掘り起こしが難しい状況にある。

スマホ市場の起爆剤として期待された5Gだが、普及のペースは低調だ。NTTドコモの8月1日時点の契約数は24万件と、21年3月末の目標の1割にとどまる。KDDIソフトバンクは公表すらしていない状態だ。こうした中、シャープの意気込み通り、国内の利用者が慣れ親しんだ「シャープ」ブランドの格安5Gスマホが普及拡大のきっかけとなるかもしれない。

国内の消費者や通信事業者の多くが5Gスマホの本命として期待するのは、早ければ今週にも発表される米アップルの「iPhone」だろう。5Gに対応しながらも、従来のフラグシップモデルに比べると安めの価格設定になるとの噂がもっぱらだ。「国内のスマホ市場はなんだかんだ言ってもiPhoneが中心」と話す関係者は多い。

5G対応の新型iPhoneと今回のシャープの格安5Gスマホは、価格面では真っ向勝負する商品ではなさそうだ。むしろ秋以降に5GのiPhoneが普及し、5Gの通信環境の整備も進めば、今以上に格安5Gスマホのニーズが増えるかもしれない。その受け皿が中国勢でなくシャープとなるのであれば、新型iPhoneはシャープにとってむしろ援軍となるかもしれない。

(日経ビジネス 佐伯真也)

[日経ビジネス電子版2020年9月14日の記事を再構成]

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