TikTok買収合戦、Oracle勝利へと米報道 Microsoft離脱

【シリコンバレー=佐藤浩実】米IT(情報技術)大手のオラクルがスマートフォンの動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を巡る買収合戦で米マイクロソフトに競り勝つ見通しになった。米中両政府が介入しており、両国の承認や同意を得ることが最終的な交渉成立の条件となる。
有力候補とみられたマイクロソフトが13日、ティックトックを運営する中国のIT企業、北京字節跳動科技(バイトダンス)から「マイクロソフトには売却しない」と伝えられたと発表した。一方、米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)など欧米メディアは同日、オラクルがティックトックの米国事業を引き受けると報じた。
ティックトックは15秒~1分の短い動画をスマートフォンで作成して投稿できるサービスで、バイトダンスが2016年に中国で始めた。17年に米国の同業を買収したのを機に成長が加速し、20年7月の世界の月間利用者は約6億9000万人まで増えていた。
米国でも利用者は1億人を超すが、トランプ政権は個人情報が中国政府に流出することを懸念していた。利用禁止をちらつかせつつ米国事業の売却を迫り、9月15日を交渉期限にしていた。
米国での事業継続が難しくなる中、バイトダンスはマイクロソフトやオラクルなどと売却交渉を進めていた。マイクロソフトが有利との見方が広がるなか、買収金額などでより有利な条件を提示したオラクルが巻き返したとみられる。
オラクルは企業向けソフトが主力だが、クラウドコンピューティングにも力を入れて顧客企業を増やしている。こうしたITインフラの領域でティックトックとの相乗効果を探る。ビッグデータを人工知能(AI)で解析し、顧客企業の営業やマーケティングを支援するといった連携も見込んでいるもようだ。