米ギリアド、同業イミュノメディクス買収 2.2兆円超で

【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手ギリアド・サイエンシズは13日、米バイオ医薬のイミュノメディクスを210億ドル(約2兆2300億円)で買収すると発表した。イミュノメディクスが持つ乳がん治療の新薬を取り込み、がん治療の分野を強化する。
ギリアドは、1株あたり88ドルを現金で支払う。11日終値の42.25ドルに対して、2倍超の水準だ。2020年末までに買収を完了する見通しだ。
買収により、イミュノメディクスが開発する乳がん治療の新薬「サシツズマブ・ゴビテカン」を取り込むのが狙い。ギリアドのダニエル・オデイ最高経営責任者(CEO)は声明で「特に難しいがん治療に変革をもたらす薬で、買収によりこの重要な新薬を前進させる」と述べた。多様化するがん領域の拡充を目指す。
同新薬は、乳がん全体の10~15%を占めるとされる「トリプルネガティブ乳がん」の治療薬。同タイプの乳がんは進行が早く再発しやすい上に、若い世代で多く見つかりやすいのが課題だ。4月に米食品医薬品局(FDA)の承認を受けており、年内にも完全承認を申請する方針だ。イミュノメディクスの株価は新薬への期待から、年初来で2倍超に膨らんでいる。
ギリアドは、新型コロナウイルスの治療薬「レムデシビル」も手掛ける。エボラ出血熱向けの治療薬として開発されたが、新型コロナへの効果が確認されて日米などが特例承認した。ギリアドは当初、各国政府に同薬を無償提供してきたが、商用生産に向けた体制が整ったとして米国では7月から有償販売に切り替えている。