米の対中包囲網、道半ば ASEAN関連会合が閉幕
南シナ海問題には「懸念」相次ぐ

米中衝突
2020/9/12 17:30 (2020/9/12 19:51更新)
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12日、オンラインでのASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議では米中北朝鮮の外相は不参加だった

12日、オンラインでのASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議では米中北朝鮮の外相は不参加だった

東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の閣僚級会合は12日、日米欧中など27カ国・地域が参加するASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議などを経て閉幕した。南シナ海問題を中心に中国の脅威を訴える米国に同調する国もあったが、その支持は広がりを欠いた。米国のASEAN関与への懐疑も根強く、対中包囲網は道半ばだ。

9~12日に開いた一連の会合では、南シナ海問題への各国の姿勢に変化がみられた。中国との関係を考慮して抑制的な態度を取ってきた国が、積極的に発言したのだ。

9日の東アジアサミット(EAS)外相会議。複数のASEAN外交筋によると、ミャンマーは南シナ海問題に「懸念」を表明した。カンボジアは「国際法に基づく平和的解決」を訴え、ラオスも「平和・協力の海にすべきだ」と主張した。

この3カ国は南シナ海で直接的に中国と領有権を争っているわけではない。中国との経済的な結びつきも強く、「中国寄り」と目されてきた。ミャンマーは経済協力の議論に大半の時間を割く日中韓とASEANの外相会議でもあえて南シナ海問題への懸念を示した。日本政府関係者は「明らかな変化」と指摘する。

中国はASEAN各国が新型コロナウイルスへの対応に注力していた4月、南シナ海に新行政区を設置するなど影響力の拡大を狙った。中国とASEANによる南シナ海に関する行動規範(COC)の交渉も中断せざるを得ない状況での間隙をつくような中国の手法に、各国が反感を強めた可能性がある。

9日のEAS外相会議では、ほぼすべての参加国が南シナ海について発言したという。録画メッセージを残して会議を欠席した中国の王毅(ワン・イー)外相の代理で出席した事務方は会議で反論を余儀なくされた。

「ASEAN各国は南シナ海の軍事拠点建設を支援する企業との関係を断つべきだ。言葉でなく行動で示す時だ」。ポンペオ国務長官は10日の米ASEAN外相会議で、こう決断を促した。米国は8月下旬、南シナ海での軍事拠点の建設に関わったとして中国企業24社に事実上の禁輸となる制裁措置を科すと発表しており、同調を求めた。

ASEAN関係筋によると、ポンペオ氏の呼びかけへの各国の反応は薄かった。軍事・経済力で劣るASEAN各国は一致結束してこそ力を発揮する。中国の南シナ海への進出は受け入れられない一方、「米国か中国か」の踏み絵を踏まされるのも避けたいためだ。

ASEAN各国は米国のような強硬措置に踏み切るのにはためらいがある。議長国のベトナムのミン副首相兼外相は12日、一連の会合後にハノイで記者会見し、「ASEANは大国間の競争に巻き込まれたくない」と話した。タイはARF閣僚会議で「対立を協力に変える協議の枠組み」を提案した。

ポンペオ氏はARF閣僚会議には出ず、11日から中東を訪れた。トランプ大統領も連続でASEAN関連首脳会合を欠席している。ASEAN側では、米国の姿勢に疑念がくすぶる。

中国は着々とASEANとの経済関係を強めてきた。2020年1~6月の貿易統計ではASEANとの貿易額が国・地域別で初の首位となった。中国の魏鳳和国防相はASEAN関連会合のタイミングにあわせてインドネシア、マレーシア、フィリピンを個別に訪れた。新型コロナウイルスのワクチン供給でも域内に影響力を広げる。年内のASEAN関連首脳会合へ米中攻防は第2幕に移る。(ジャカルタ=地曳航也、ワシントン=永沢毅、北京=羽田野主)

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