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商船三井、モーリシャス支援に10億円拠出 賠償と一線

基金設立など柱

基金の目的などを説明する商船三井の池田潤一郎社長(11日、東京都港区)

商船三井は11日、手配した貨物船がモーリシャス沖で座礁し燃料油が漏れた事故を巡り、基金の創設など独自の支援策を公表した。拠出額は10億円規模。法的責任が直接問われる船主ではないが環境汚染への批判を踏まえ、船の使用者としての社会的な責任を重視した。賠償ではなく支援との立場を強調し、同様の事故対応の先行事例になるとの指摘も出ている。

現地は大量に流れ出た燃料油で、海面やマングローブ林の汚染といった被害が出ている。商船三井はマングローブ林の保護やサンゴ礁の回復などの財源として「モーリシャス自然環境回復基金」(仮称)を設立。数年にわたり約8億円を拠出するほか、現地への寄付など約2億円を負担する。貨物船を所有する長鋪汽船(岡山県笠岡市)も参加する意向を示した。

同日会見した池田潤一郎社長は「モーリシャスの人々をはじめとする皆様に、迷惑と心配をかけていることにおわび申し上げたい」と陳謝した。支援の理由を「モーリシャスの環境に大きな影響を与える事故だった。社会的責任を負うのは当然」と説明した。

座礁事故による被害は船主が賠償することが原則だ。ただ国際的な観光地であるモーリシャスの海の汚染は世界の注目を集め、船を手配した商船三井の責任を問う声も出ていた。池田社長は「損害賠償と今回の支援策は明確に違う」とするものの、資金の拠出という目に見える形での負担が必要と判断したようだ。

タンカーによる油濁事故は被害を補償する基金があるが、一般の貨物船にその枠組みはない。長鋪汽船が支払う賠償額は数十億円にとどまるとの見方もあり、被害者の救済に限界があった。

海難事故に詳しい東海大学の山田吉彦教授は商船三井の負担額について「(法的責任が問われる)長鋪汽船の賠償額を上回るのは筋が通らない」とした上で、賠償ではない基金方式は「同様の事故の際のモデルケースになる」と評価する。

拠出金の勘定項目や各年度の計上金額は「まだ決まっていない」という。2021年3月期の連結経常損益はゼロを見込み、計上手法や金額次第で業績に影響する可能性がある。

一方でJPモルガン証券の姫野良太氏は「ESG(環境・社会・企業統治)の観点から、道義的責任を一定程度果たす方が好感する投資家も多い」との見解を示した。

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