LG、高級白物家電で稼ぐ 欧米でブランド浸透

アジアBiz
2020/9/11 22:20
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LGの最上位ブランド「シグニチャー」の家電は欧米市場で人気が高い

LGの最上位ブランド「シグニチャー」の家電は欧米市場で人気が高い

【ソウル=細川幸太郎】韓国LG電子の白物家電が収益力で競合を圧倒している。同部門の営業利益率は倍近く開き、新型コロナウイルス禍の直近四半期では12%を超えた。百貨店を主要販路に据えた高級ブランド戦略が欧米で開花し、主要部品の内製化で製品開発力も磨いた。低迷続きのスマートフォン事業を尻目にLGの稼ぎ頭に育っている。

5日までドイツ・ベルリンで開かれた欧州最大の家電見本市「IFA」。新型コロナの余波でサムスン電子やソニーなどの常連組が出展を見送るなか、LGは衣類のスチーム洗浄機「スタイラー」の新製品など最新の家電を紹介。日本に比べ高級家電ブランドとして認識されている欧州市場に向けて「白物家電のLG」をアピールした。

■利益率12%超

LGの家電部門は19年度に売上高営業利益率が9.3%となった。世界最大手の中国海爾集団(ハイアール、4%)や宿敵サムスン(5.8%)、高収益で知られる米ワールプール(5.5%)などを引き離す。テレビやスマホで知られているが、実際は冷蔵庫や洗濯機といった白物家電が名実ともにLGの大黒柱となっている。

新型コロナの影響で世界経済が低迷するなかでも利益率は上昇し、直近の20年4~6月期では12%を超えた。韓国教保証券はLGについて「新型家電や(空気清浄機など)衛生製品の販売拡大は続く」と分析。マーケティング費用がかさむ下半期を含む20年通期でも、主要証券会社のLGの利益率予想は9.5~10.5%と過去最高値を更新する見通しだ。

LGの家電が高収益部門になった要因は、16年にカジを切った高級ブランド路線にある。

当時の部門トップだった趙成珍(チョ・ソンジン)前最高経営責任者(CEO)主導の下、最上位ブランド「LGシグニチャー」を設立。趙氏は「中国企業の追撃をかわすためには、高品質なブランドを築くしかない」とし、品質重視でデザインや色彩を統一した新ブランドを展開した。

シグニチャーの冷蔵庫は70万円、洗濯機は40万円と高額だ。それでも売れる商品にしようと、販売・製造でそれぞれ改革を断行した。

■百貨店を開拓

まず高級ブランドであることを定着させるため、販路を絞った。米国ではブルーミングデールズ、英国ではジョン・ルイスといった老舗百貨店と手を組み、店内にシグニチャーのみを置く特設売り場を設置。安売りでブランドが毀損しやすい量販店をあえて避けた。

品質向上にもこだわった。白物家電は耐久性や省電力性が重視される。このためモーターやコンプレッサーなど中核部品を内製化し、競合に先駆けて「10年間の無償修理保証」をほぼすべての家電製品に適用した。

LGは釜山港に近い昌原(チャンウォン)工場で主要部品を集中生産した後、中国や東南アジア、米国に出荷して自社工場で組み立てる。こうした工場の役割分担を明確にし、品質維持とコスト削減を両立した。

主要部品を自前で手掛けることが開発力の源泉ともなる。乾燥機や食器洗浄機などで使われ、沸騰水を噴きかけるスチーム関連技術では1千件を超える特許を持つ。こうした技術蓄積の応用がスタイラーの開発につながった。

白物家電事業トップの宋大鉉(ソン・デヒョン)本部長は「最上位のプレミアム製品の販売によってLG全体のブランド価値の底上げ効果が得られた」と話す。ブランドが浸透した欧米に続き、「シグニチャーの販売エリアをさらに広げる」(宋氏)ことが、今後の成長を左右する。

■スマホは5年超赤字

 白物家電が好調に推移するLG電子にとって、業績の足を引っ張るのがスマートフォン事業だ。同事業の2020年4~6月期は営業損失が2065億ウォン(約185億円)と、21四半期連続の赤字となった。
19年通期の業績でみると、白物家電事業の営業利益が2兆ウォンに対し、スマホは1兆100億ウォンの赤字。好調部門の利益を半分も相殺するほど、スマホ事業の低迷は深刻となっている。
 要因はサムスン電子や米アップルといった上位メーカーに比べて端末の開発力が弱く、魅力的なスマホを生み出せないことだ。これが販売低迷を招き、開発原資で競合に劣るという負の連鎖から抜け出せないでいる。
LGは赤字抑制に向けて韓国内でのスマホ生産を中止する一方、ベトナムの自社工場などへの移管を進める。ただ中国勢の躍進などでシェア低下に歯止めがかからないままでは、事業立て直しにはつながりにくい。スマホ市場全体の伸び悩みや製品のコモディティー(汎用品)化も続いており、LGは抜本的な改善策が求められている。
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