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証券畑からオリーブ畑へ オキオリーブ 澳敬夫さん

「互恵」で人集う場所に(MyWay)

香川県の特産品、オリーブがまもなく収穫の季節を迎える。鮮度が高く高品質なオリーブオイルを手掛けるオキオリーブ(高松市)の園主、澳敬夫(54)は、大手証券会社から転じ2015年に農業法人を立ち上げた。いま模索しているのは個々が価値を提供し合う「互恵」による運営。いわば物々交換のような仕組みで、宿泊した海外アーティストの中には、お返しに絵を描いていく者もいる。

オキオリーブの澳敬夫さん

高松市街地から車で約30分。看板を目印に小道に入ると、オリーブ特有の緑が連なり、園内に約1500本の木が植わる。澳はカフェになっている小屋を指さし、「屋根の上から見下ろす景色は抜群ですよ」と目を細める。

野村証券で働いていた09年、高松の支店に赴任した。ちょうど金融機関が農業を後押ししようとしていた時期だった。オリーブに目をつけ、事業主体を探すべく東奔西走。「証券マンの発想としては、きれいなビジネスモデルが描けていたと思う」と振り返る。

しかし、笛ふけども踊らず。担い手が見つからず、事業の形を変えて個人で請け負うことを決意した。食品としてのオリーブに価値を見いだし、ポリフェノールなどを含む栄養価の高い葉も、保存しやすく応用範囲が広いことから商材として魅力的に感じた。

オキオリーブで販売するオリーブオイルは100ミリリットルで7000円を超える高級品。熟す前の青い果実だけを使用し、収穫後4時間以内に搾ることでオリーブの劣化を防いでいる。「特殊な商品ではあるが、なんとか売れるようになってきた」と手応えを口にする。

ただ、立ち上げ当時考えていた勝算と、いまの勝算はまるで違うという。「エクセルの数字通りにはいかない。オリーブオイルというモノと、澳敬夫というヒト。そこに魅力を感じてくれないと臨場感が生まれない」。数字から入ると失敗する、本質さえしっかりしていればお金は後から付いてくる。そう考え、個々が価値を提供し合う「互恵」による運営を模索する。

オキオリーブには「WWOOF(ウーフ)」という農業版エアビーアンドビーのようなサイトを通じて、農作業を体験しようと海外から多くの人が訪れる。宿泊場所や食事を提供する代わりに農作業を手伝ってもらう。フランスから訪れたアーティストは農作業をする代わりに、オリーブ園の小屋に「SHADOW」と題した絵を描いていった。「自分がそうしたいからするんだと。その方が心地良い」。

互恵という言葉を初めて知ったのは大学時代。当時はピンとこなかったが、証券会社、独立を経て、「今になって響いてくるもんだね」と笑う。=敬称略

(桜木浩己)

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