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台湾、中国軍事圧力に反発 中国軍、防空圏に侵入増

【台北=中村裕】台湾が中国による軍事圧力の高まりに反発している。台湾の国防部(国防省)は中国軍の戦闘機が9日から2日間連続で、台湾南西部の防空識別圏に侵入を繰り返したことを強く非難した。中国は米国に急接近する台湾をけん制しているとみられる。

10日夜に記者会見した国防部の張哲平副部長は「台湾の空域に深刻な影響を及ぼし、地域の平和と安定を脅かす」と批判した。台湾メディアによると9、10日の両日、中国軍機が各20回ほど防空識別圏に侵入した。

台湾南西部の南シナ海で、大規模な海空軍による合同軍事演習があり、台湾まで90カイリ(約166キロメートル)の地点でも訓練した。周辺に台湾が実効支配する東沙諸島があり、国防部は「深刻な挑発行為」と断じた。

中国軍機は6月から台湾南西部の防空識別圏に度々、侵入を繰り返してきた。動きが加速した背景は3つある。

まず、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が2期目をスタートさせた5月以降、脱・中国依存をさらに鮮明にした。

蔡氏は就任演説で「一国二制度は断固拒否する」と発言した。8月には米国から1979年の断交後で最高位のアザー厚生長官が台湾を訪問し、蔡総統と会談した。今月3日には、チェコのミロシュ・ビストルチル上院議長を招いて蔡総統が会談した。中国大陸と台湾が一つの国に属する「一つの中国」に反すると中国は強く反発した。

2つ目は今月に開く「海峡フォーラム」がある。年1回、中国の福建省アモイ市で開き、中台融和に主眼が置かれる。今年も親中派の野党・国民党は代表団を送るが、蔡政権は代表団の派遣に反対している。台湾国防部のシンクタンク、国防安全研究院の蘇紫雲所長は「直前に軍事圧力をかけて台湾の人々を不安にさせ、中台融和、交流の必要性を認識させようとしている」と指摘する。

最後に中国とインドが国境付近でにらみ合いを続けていることも関係している可能性がある。蘇氏は「インドとの事態が硬直化して中国軍のいら立ちが募っており、不満が台湾に向けられている」と分析する。台湾への軍事的圧力は当面続くとの見方が多い。

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