凸版印刷、伝統文化学ぶVR観光ツアー 企業向けに

凸版印刷はVR(仮想現実)技術やウェブ会議システムを活用し、伝統文化を学べるオンライン観光ツアーを始めた。企業の研修旅行向けに提供する。VRでの寺院の見学や、オンラインでの工芸職人との交流を実現する。新型コロナウイルスの感染拡大で旅行市場が縮小するなか、オンラインで新たな事業機会を創出する。
グループ会社で旅行代理業のトッパントラベルサービス(東京・港)と協力する。価格は参加者30人程度の場合で30万円からで、参加人数や内容で変化する。2024年3月までに累計10億円の売り上げを目指す。
まずは「奈良・唐招提寺のVR拝観」と「東京・浮世絵工房のバーチャル見学」の2種類のツアーを用意した。ツアーガイドが付き、参加者はパソコンを通じてVRで通常の旅行では立ち入ることのできない場所を見たり、旅先の人とオンラインで対話をしたりして文化への認識を深める。
奈良・唐招提寺のツアーでは寺の境内や絵巻をVRで見学し、鑑真和上の生涯を学ぶ。VR映像を映し出すスタジオからツアーガイドが解説する。寺の僧侶からもオンラインで鑑真和上の生涯について説明してもらう。
東京の浮世絵工房は木版画を制作する創業160年の工房で、工房内部や職人の実演をオンラインのライブ動画で見学する。工房の当主から伝統への思いなども聞く。
凸版印刷は今後、京都での屏風絵デジタル鑑賞や東京でのオンライン座禅などの新規ツアーを順次発売する。
同社は印刷や計測技術で培った画像データ処理技術などを生かし、文化財のデジタルデータの保存に取り組んでいる。これらの実績やノウハウを生かす。