/

避難者なお4万3000人、コロナで支援模索 震災9年半

(更新)
NPO法人「医療ネットワーク支援センター」は首都圏の避難者がオンラインでつながる場を作っている(7月、東京都渋谷区)=同NPO提供

東日本大震災は11日、発生から9年半を迎えた。避難者数は今なお4万3千人にのぼり、各地の支援団体は新型コロナウイルス下でオンラインの活動などを模索する。個人情報保護を理由に避難者情報を共有しない自治体もあり、支援のハードルとなっている。

「同じ方言を聞きたい」「仲間に会いたい」

新型コロナの感染拡大以降、首都圏の避難者を支援するNPO法人「医療ネットワーク支援センター」(東京・新宿)に、互いに疎遠になった避難者たちから、そんな声が相次いでいる。

避難者の大半は高齢で、定期的な交流で顔を合わせ、経済的な厳しさや地域になじめないもどかしさなどを共有して励まし合ってきた。理事長の人見祐さん(66)は「9年以上かけて築いた信頼関係をコロナで途切れさせられない。どんな状況でもつながりを保ち続けたい」と話す。

月1回続けてきた避難者自身が活動方針を話し合う「どうすっぺ会」を7月以降、リモート形式で開いている。埼玉県内と東京都内で1室ずつ借りた会議室にメンバー10人が集まり、オンライン会議システムでつないで近況や活動予定を話し合う。避難先の地域で続けてきた歌や手芸などのサークル活動もオンラインで行う準備を進めている。

復興庁によると、避難者は8月11日時点で4万3022人。全国47都道府県の940市区町村に分散している。被害の大きかった岩手、宮城、福島3県から県外への避難者数は3万4373人で、福島県が2万9595人と多数を占める。

同県は2016年以降、全国に散らばる県外避難者のため、相談窓口「生活再建支援拠点」を26カ所に設置した。地元のNPO法人などに相談業務を委託し、帰還や生活再建に向けた情報を提供している。

県の担当者は「避難の長期化で高齢化が進む世帯があるなど、生活再建に向けた課題は複雑化している。コロナ禍で孤立しないよう避難先の自治体とも連携して支援に努めたい」と話す。

ただ個人情報保護を理由に、避難者の情報を支援団体と共有しない自治体もあり、活動の妨げとなっている。

四国4県をカバーする生活再建支援拠点の運営を受託しているNPO法人「えひめ311」(松山市)は、行政側から個人情報の提供が難しいと言われ、避難者同士の親睦を深める交流会などを通じて、関係を築いてきたという。気になる避難者には月2回電話するなどしてサポートしてきたが、担当者は「もし情報をもらえたら、もっと早い段階でさまざまな支援ができた」と話す。

さいたま市の「福玉支援センター」も行政が持つ情報がない中、独自のネットワークで活動してきた。「あすから住居がない」と相談されたこともあるといい、西城戸誠代表理事は「国は避難者の状況を改めて調べ、支援が必要かどうか洗い出すべきだ」と話している。

避難者支援に携わる茨城大の原口弥生教授(環境社会学)は避難先での結婚や家族との死別など「長期化により悩みも変わる。交流会や情報提供などの支援がいかに大切かを自治体にも理解してほしい」と強調。コロナ下で「交流会という形でなくてもつながりをもてる活動が大切」と話す。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

東日本大震災10年へ

インフラ整備や産業・文化の復興、原発、防災、そして地域に生きる人々の10年とこれからをテーマにした記事をお届けします。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン