アストラゼネカ「ワクチン年内に申請」 治験早期再開へ
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【ロンドン=佐竹実】英製薬大手アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は10日、新型コロナウイルスのワクチンについて、年内に臨床試験(治験)の結果を当局に申請する計画は変わらないと述べた。ロイター通信などが報じた。深刻な副反応の疑いで治験を中断したが、早期再開を目指す。
同社が英オックスフォード大学と共同開発するワクチンは治験の最終段階で、英国で副反応の可能性が浮上して9日に中止を発表していた。被験者に横断性脊髄炎に関連する症状が出たという。ソリオ氏は一時中断について「(ワクチン開発では)よくあること」と説明。新型コロナのワクチンも安全の確認に万全を期していると強調した。
オンラインイベントに参加したソリオ氏によると、治験には6万人が登録しており、まれな副反応を検知するのに十分な規模という。同氏は「年内にデータを申請する予定は変えていない。あとは当局がどれだけ早く承認するかだ」と述べた。
同社のワクチンは世界でも速いペースで開発が進んでいる。世界的な期待も高まっていただけに、中止の反響も大きかった。英フィナンシャル・タイムズは9日、アストラゼネカの治験が来週にも再開される見通しだと報じている。同社は9月にも供給することを目指して開発していた。
日本政府はアストラゼネカから、1億2千万回分の供給を受けることで合意している。供給は2021年初めに始まり、3千万回分を同年3月までに確保する計画だ。