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米、遠のく追加経済対策 与野党対立で5000億ドル案否決

(更新)

【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権と連邦議会による追加の新型コロナウイルス対策の実現が遠のいている。上院は10日、共和党が提案した5000億ドル(約53兆円)規模の経済対策案を事実上否決。与野党は超党派合意に向けた作業を放棄しており、11月の大統領選前の成立は困難との見方も出てきた。「財政の崖」が景気回復の足かせとなる。

上院は10日、共和党指導部が提出した新しい経済対策法案を協議し、野党・民主党の反対で事実上否決した。議事妨害を阻止するためには100票中60票が必要だが、民主党(47議席)の全議員が反対票を投じて本採決に進めなかった。上院共和トップのマコネル院内総務は「上院民主の全員が、学校再開や検査、ワクチン、失業保険への数千億ドルの財政出動を否決した」と批判した。

ただ、マコネル氏は8日に同法案を提出後、民主党側の切り崩しや妥協案づくりを一切しておらず、否決は当初から既定路線だった。5000億ドルの追加対策案は、民主党が求める州・地方政府への資金支援案や、家計への現金給付第2弾などを完全に排除。マコネル氏ら共和党指導部は独自法案を押し通し、11月の選挙を前に支持層の財政保守派の歓心を買うパフォーマンスに徹した。

与野党は超党派の合意案作りを放棄したままで、早期の追加経済対策の実現は困難だ。民主党は追加財政出動の規模を3兆ドルから2兆ドルに減額して共和党の妥協を促すが、共和党は当初の1兆ドル案から今回は逆に歳出規模を半分にカット。ホワイトハウスは1兆3000億ドル規模の折衷案を提示するが、与野党の対立は解けないままだ。

米政権と議会は超党派合意によって合計で3兆ドル規模の経済対策を発動してきた。ただ、7月末には失業給付を週600ドル加算する特例措置が失効。中小企業の給与補填策も8月上旬に申込期限が切れた。9月末には航空会社向けの雇用維持策も失効し、ユナイテッド航空など大手各社は10月以降、数万人単位の人員カットを計画する。

トランプ政権は窮余の策として、失業給付を週400ドル積み増す大統領令を出したが、財源は災害基金からの転用で10月には資金が枯渇する可能性がある。公的支援が立て続けに失効する「財政の崖」が深まり、コロナ危機からの景気回復は下押しが避けられない。

景気回復が遅れれば、本来はトランプ大統領の再選シナリオの逆風となる。ただ、中西部の激戦州は製造業の操業再開で失業率が急低下。一方で民主党の地盤である東海岸や西海岸は、サービス業の比率が高く、失業率が高止まりする。共和党が雇用対策の拡大に慎重になり、民主党が逆に失業給付の積み増しを求める理由はそこにある。

経済対策の成立は11月の選挙後の「レームダック議会」まで遅れるリスクがある。企業倒産や長期失業がさらに増えれば、米経済の本格回復につながる潜在成長力そのものを損なうことになる。

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